SNS通信販売の特定商取引法|表示義務とBtoB除外の実務チェック

SNS通信販売の特定商取引法|表示義務とBtoB除外の実務チェック
📅 公開日: 2026年9月28日🔄 最終更新: 2026年10月5日

InstagramのショップやTikTok Shop、SNS広告からのLP誘導などを使って自社商品を消費者に直接販売する、いわゆる「SNS通信販売」を行う企業が増えている。ここで見落とされやすいのが、このSNS通信販売も特定商取引法の規律対象になるという点である。結論として、消費者(BtoC)向けにSNS上の広告や投稿から申込みを受けて商品・権利・役務を販売する場合、広告への表示事項(法第11条)、特定申込みを受ける場面での表示(法第12条の6)、返品に関する表示(法第15条の3)という3つの実務対応が必要になる。一方で、営業のため、または営業として締結する取引、いわゆるBtoB取引は法第26条により適用除外となる。本記事では、消費者庁の特定商取引法ガイド(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/、2026年9月27日時点で確認)の記載に沿って、SNS運用担当者・EC担当者が確認すべき実務ポイントを整理する。

目次

特定商取引法が定める「通信販売」とは|SNS経由の販売への当てはめ

特定商取引法における通信販売とは、販売業者又は役務提供事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受けて行う商品・権利の販売又は役務の提供のことをいう。

消費者庁の特定商取引法ガイドは、通信販売を「事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引のこと」と説明し、電話勧誘販売に該当するものを除くとしている。具体例として、新聞や雑誌、テレビ、インターネット上のホームページ(インターネット・オークションサイトを含む)などによる広告や、ダイレクトメール、チラシ等を見た消費者が、郵便や電話、ファクシミリ、インターネット等で購入の申込みを行う取引方法が挙げられている(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)。

この定義には「インターネット上のホームページ」という限定はあっても、SNSアプリそのものを除外する記載はない。Instagramのショップ機能やTikTok Shopのように、SNS上の投稿や広告からアプリ内・外部LPで申込みを受ける形態も、郵便等(電話機やファクシミリ、情報処理に用いられる機器を利用する方法などを含む)による申込みの受付にあたる限り、通信販売として扱われる。SNS上でのショップ運用の始め方自体はTikTok Shop日本の始め方で解説しているが、出店後にどの法令対応が必要になるかは別に整理しておく必要がある。

注意したいのは、通信販売の対象が「商品」だけでなく「特定権利」や「役務」にも及ぶ点である。オンラインコンサルティングや会員制コミュニティの入会案内をSNS経由で募集し、申込みをインターネット上で受ける場合も、役務の提供として通信販売の枠組みに入り得る。SNS運用代行会社を選ぶ側・提供する側のいずれであっても、自社の商流のどこで「申込みの受付」が発生しているかを最初に切り分けることが、以降の表示義務を判断する起点になる。

適用除外|BtoB取引(営業のため・営業として締結する取引)の考え方

特定商取引法第26条の適用除外とは、営業のため、又は営業として締結する取引など一定の取引類型について、同法の行政規制・民事ルールが適用されないと定める規定である。

消費者庁の解説では、適用除外の対象として「営業のため、又は営業として締結するもの」「海外にいる人に対する販売又は役務の提供」「国、地方公共団体が行う販売又は役務の提供」「事業者がその従業員に対して行う販売又は役務の提供の場合」などが挙げられている(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)。SNS運用代行やSNSコンサルティングのように、企業が事業者向けに営業として提供するサービスの契約は、この「営業のため、又は営業として締結するもの」に該当する限り、特定商取引法の表示義務の対象外になる。

実務上の判断が分かれやすいのは、同じSNSショップ経由の販売でも、購入者が個人事業主であっても「営業として」購入している場合は適用除外になり得る一方、購入者が消費者として私的に購入している場合は対象になるという点である。契約書上の当事者表記だけで判断せず、実際の取引の性質(営業目的かどうか)を確認する姿勢が必要になる。SNS運用代行の受発注契約自体の確認項目はInstagram運用代行の契約前チェックリストで個別に整理している。

自社がSNS経由で一般消費者向けのEC(BtoC)を展開している場合、この適用除外規定に頼ることはできない。Instagramショップや動画配信を使った販売、SNS広告からのLP誘導で個人向け販売を行う企業は、次章以降の確認事項をそのまま自社の販売チャネルに当てはめて点検する必要がある。

広告に表示する事項(法第11条)

法第11条による広告の表示義務とは、通信販売の広告に販売価格や支払条件、事業者情報など消費者庁が列挙する事項を表示しなければならないとする規制である。

通信販売は隔地者間の取引であり、販売条件についての情報はまず広告を通じて提供される。消費者庁のガイドは、この趣旨から「広告の記載が不十分であったり、不明確であったりすると、後日トラブルを生ずることになります」としたうえで、広告に表示すべき事項を列挙している(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)。SNS投稿そのものに全項目を書き込むことは現実的でないため、投稿からリンクする商品ページ・LP側にこれらの事項をまとめて表示する運用が現実的である。

表示事項 SNS運用での実務ポイント
販売価格(役務の対価)・送料 送料が価格に含まれない場合は送料を別に金額表示する
代金の支払時期・方法 後払い・前払い・決済手段ごとに時期を明記する
商品の引渡時期(役務の提供時期) 発送までの日数や役務開始日を具体的に示す
申込みの期間の定め 期間限定販売の場合は開始・終了を明示する
申込みの撤回・解除に関する事項 返品特約がある場合はその内容を含めて表示する
事業者の氏名(名称)・住所・電話番号 LP・ショップページの特定商取引法表記に記載する
引渡した商品が契約内容に適合しない場合の責任 不良品対応の方針を明記する
ソフトウェア取引の場合の動作環境 デジタル商材・アプリ販売で必須の項目
電子メールで広告する場合の事業者メールアドレス メルマガ・ステップメールを併用する場合に必要

この一覧は消費者庁ガイドの列挙内容をもとに、SNS運用の現場で確認しやすい形に整理したものである。実際の表示文言は、法第11条ただし書の対象となるかどうかも含め、次章の省略可否と突き合わせながら、抜け漏れのない状態にしておきたい。

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表示を一部省略できる場合と、条件を満たしても省略できない項目

表示事項の一部省略とは、消費者からの請求により表示事項を記載した書面又は電子メールを遅滞なく提供する体制を整え、その旨を広告に表示している場合に限り、広告本体への記載を一部省略できる仕組みをいう。

消費者庁の解説によれば、広告の態様やスペースは様々であるため、これらの事項をすべて表示することは実態にそぐわない面がある。そこで、消費者からの請求によって表示事項を記載した書面(インターネット通信販売では電子メールでもよい)を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、実際に請求があった場合に遅滞なく提供できる措置を講じている場合には、広告の表示事項を一部省略できるとされている(法第11条ただし書、https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)。「遅滞なく」とは、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることを指す。

一方で、次の項目は消費者庁の一覧表において、前払い・後払いなどの条件にかかわらず一貫して「省略できない」に区分されている。SNS投稿や短いLPで表示スペースが限られていても、この表にある項目だけは別途、確認画面や特定商取引法表記ページへ載せておく運用が求められる。

省略が認められない表示事項 根拠
申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容 法第11条ただし書の適用対象外
返品に関する事項(返品の可否・期間等条件・送料負担の有無) 返品特約表示ガイドラインの対象
ソフトウェアに関する取引である場合の動作環境 デジタル商材の紛争防止のため
契約を2回以上継続して締結する場合の条件 定期購入・サブスク型販売で特に重要
販売数量の制限等、特別な販売条件があるときの内容 数量限定販売のトラブル防止
電子メールで広告する場合の事業者の電子メールアドレス 連絡手段の確保

定期購入型のサブスクリプション販売をSNS広告経由で展開する場合、この一覧の「契約を2回以上継続して締結する場合の条件」が特に見落とされやすい。初回購入時の価格だけを大きく見せ、2回目以降の販売条件をLPの目立たない位置にしか書いていないケースは、表示義務違反のリスクが高い。

特定申込みを受ける場面の表示義務(法第12条の6)と最終確認画面

特定申込みとは、事業者が作成した所定の様式の書面に沿って消費者が注文内容を記入する場合、又はインターネットを利用した通信販売で契約の申込みを行う場合をいい、法第12条の6により申込書面又は最終確認画面での表示義務が課される。

消費者庁の解説では、特定申込みに該当する通信販売において、申込書面又は最終確認画面に、分量、販売価格(役務の対価)、代金の支払時期・方法、商品の引渡時期、申込み期間の定め、契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(返品特約がある場合はその内容を含む)を表示するよう定めている(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)。あわせて、契約の申込みとなることを誤認させるような表示や、これらの事項について誤認させるような表示も禁止されている。

SNS広告からInstagramショップやECカートに遷移して購入を完了させる流れでは、この「最終確認画面」に該当するのは遷移先のカート確認ページや決済直前の画面になる。SNS投稿自体には表示義務が及ばなくても、遷移先の画面設計が特定商取引法上の要件を満たしているかどうかは、広告主である企業側の責任になる。カート確認画面で氏名・連絡先といった個人データも同時に取得する場合は、表示義務とは別に個人情報保護法上の取扱いも整理しておく必要があり、この点はSNS運用代行と個人情報保護法で扱っている論点と重なる。

特定商取引法は、インターネット通販において消費者が申込み内容を容易に確認し、かつ訂正できるように措置していないことを「顧客の意に反して」契約の申込みをさせようとする行為として禁止し、行政処分の対象としている。SNS発の購入流れを設計する担当者は、確認・訂正のステップを省略していないかを、ここで一度点検するとよい。

返品に関する表示と契約の申込みの撤回・解除(法第15条の3)

法第15条の3が定める返品ルールとは、通信販売において商品の引渡しを受けた日から数えて8日以内であれば、消費者が契約の申込みの撤回や解除をでき、消費者の送料負担で返品ができるという民事ルールである。

消費者庁のガイドは、「通信販売では、消費者が売買契約を申し込んだり、締結したりした場合でも、その契約に係る商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品ができます」と説明し、「事業者が広告であらかじめ、この契約申込みの撤回や解除につき、特約を表示していた場合は、特約によります」と続けている(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)。

つまり、SNS経由の通信販売において「返品・交換は一切お受けできません」とだけ書いても、それが法的に有効な特約になるとは限らない。返品特約を広告や商品ページに明記していなければ、8日以内・消費者送料負担という法定のルールが適用される。特約を設ける場合は、返品の可否・期間・条件・送料負担の有無まで具体的に表示することが求められる。

ハンドメイド品や食品など返品になじみにくい商材をSNS経由で販売する事業者ほど、この特約表示を曖昧にしがちである。返品を制限したいのであれば、その条件を広告表示事項として明記する対応が必要になる点は、社内のEC担当・カスタマー対応部門と共有しておきたい。

電子メール広告・ファクシミリ広告のオプトイン規制(法第12条の3〜5)

オプトイン規制とは、消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者が電子メール広告やファクシミリ広告を送信することを原則禁止する規制である。

消費者庁の解説によれば、通信販売事業者が電子メール広告を送る場合、承諾や請求を受けた場合は「最後に電子メール広告を送信した日から3年間、その承諾や請求があった記録を保存することが必要」とされる。ファクシミリ広告の場合は保存期間が1年間となる(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)。この規制は通信販売事業者本人だけでなく、電子メール広告の送信を受託する事業者にも及ぶ。

契約の成立、注文確認、発送通知などに付随した広告や、契約内容・履行に関する重要な通知の一部に広告が含まれる場合、メルマガに付随した広告などは、この規制の対象外とされている。SNS運用代行会社がクライアント企業に代わってステップメールやメルマガを配信する業務を受託する場合、配信リスト獲得時の同意取得と記録保存の運用を、委託元・委託先のどちらが担うかを契約時に決めておく必要がある。あわせて、広告表示にまつわる別の論点として企業SNSのステマ規制対応も確認しておくと、SNS上の広告表示全体を一度に見直せる。

誇大広告等の禁止(法第12条)とSNS投稿表現の社内チェック

誇大広告等の禁止とは、表示事項等について著しく事実に相違する表示や、実際のものより著しく優良・有利であると誤認させる表示を禁止する規制である。

消費者庁の解説は、特定商取引法が「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止していると説明している(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)。SNS投稿は短い文章と画像で訴求力を出そうとするあまり、効果や実績を実態以上に見せる表現が入り込みやすい媒体でもある。

特に健康食品や化粧品をSNS経由で通信販売する場合は、特定商取引法上の誇大広告規制に加えて、薬機法上の広告規制も同時に確認する必要がある。この2つの法令は目的も規制対象も異なるため、どちらか一方をクリアしても他方の違反になり得る。薬機法側のチェック観点は企業SNS投稿の薬機法チェック手順で個別に整理している。SNS運用担当者は、投稿の入稿前チェックリストにこの2つの観点を分けて組み込んでおくとよい。

前払式通信販売の通知義務(法第13条)と解除妨害の禁止(法第13条の2・法第14条)

前払式通信販売の通知義務とは、消費者が商品の引渡しを受ける前に代金の全部又は一部を支払う場合に、事業者が申込みの承諾等を記載した書面を渡さなければならないとする規制である。

消費者庁の解説によれば、前払いを受けて商品の引渡しに時間がかかるときは、申込みの承諾の有無、事業者の氏名・住所・電話番号、受領した金銭の額、受け取った年月日、申込みを受けた商品とその数量、承諾する場合は引渡時期を記載した書面を渡す必要がある(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)。SNS経由の予約販売やクラウドファンディング型の先行販売を行う場合、この通知義務が発生し得る。

また、契約の申込みの撤回又は解除を妨げるために事実と違うことを告げる行為(解除妨害のための不実告知)や、契約当事者双方に原状回復義務が課された場合に事業者が代金返還などの債務履行を拒否・遅延する行為も禁止されている。SNS上のDMやチャットで返品対応をする際、担当者の個人判断で「返品は受け付けていません」と事実と異なる案内をしてしまうと、この禁止行為に触れるおそれがある。カスタマー対応担当への案内文言の共有は、表示義務の整備と同じくらい重要な実務対応になる。

表示義務違反が招く行政処分と適格消費者団体による差止請求

行政処分とは、特定商取引法の行政規制に違反した事業者に対して、業務改善の指示、業務停止命令、役員等の業務禁止命令などが行われる措置をいう。

消費者庁の解説は、行政規制に違反した事業者が「業務改善の指示(法第14条第1項)や業務停止命令(法第15条第1項前段)、役員等の業務禁止命令(法第15条の2第1項)等の行政処分の対象となるほか、一部は罰則の対象にもなります」としている(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/)。SNS運用担当者にとっては縁遠く感じられるかもしれないが、これらの処分は自社の商品ページやSNS広告の表示内容が起点になり得る。

あわせて、誇大広告等をする行為や、特定申込みに係る書面・画面で不実表示・誤認表示をする行為などを不特定多数に対して行っている、又は行うおそれがある場合、適格消費者団体が事業者に対して行為の停止等を請求できる制度も設けられている。表示義務への対応は、行政からの指摘だけでなく、こうした民間の監視の目にもさらされていると理解しておくと、社内での優先度づけがしやすくなる。

SNS運用担当・外注先と共有する社内チェック体制

社内チェック体制とは、特定商取引法の表示義務を漏れなく満たすために、確認項目ごとの担当部門とタイミングをあらかじめ定めておく運用の枠組みをいう。

特定商取引法の表示義務は、広告表示(法第11条)、特定申込み時の表示(法第12条の6)、返品ルール(法第15条の3)、誇大広告の禁止(法第12条)、メール広告のオプトイン規制(法第12条の3〜5)と、確認すべき条文が複数にまたがる。SNS運用担当者だけで全項目を把握するのは負担が大きいため、担当部門とタイミングを分担しておくと運用しやすい。

確認項目 主な担当 確認するタイミング
広告表示事項の記載漏れ確認 SNS運用担当・外注先 投稿・LP公開前
最終確認画面の表示内容 EC担当・システム担当 ショップ機能の導入時・改修時
返品特約の明記・見直し 法務・カスタマー対応 販売条件の変更時
メール広告の同意記録の保存 マーケティング担当 配信の都度・保存期間中
BtoB/BtoCの区分確認(適用除外の判断) 営業・法務 新規販売チャネル導入時
外注先への表示義務の周知 発注担当 契約締結時・契約内容の改定時

SNS運用代行会社に投稿作成やショップ運用まで委託している企業では、委託先の担当者が変わるタイミングでこの表示義務の周知が抜け落ちやすい。アカウントの運用権限を引き継ぐ際のチェック項目に、特定商取引法の表示義務確認を組み込んでおくと抜け漏れを防ぎやすくなる。引き継ぎ作業全般の実務は企業SNSアカウントの権限管理と引き継ぎ手順で扱っている。

なお、これらの表示義務を満たすこと自体は、売上や集客を直接増やす施策ではない。むしろ表示項目を増やすほどLPやショップページの情報量は増え、担当者の作業負担も増える。それでも対応が必要なのは、表示不備が招く行政処分や返品トラブルへの対応コストの方が、多くの場合これを上回るためである。自社のリソースだけで全条文を継続的に確認する体制を組みにくい場合は、SNS運用代行会社に表示チェックの一部を組み込んでもらう選択肢もある。

よくある質問(FAQ)

Q1. Instagramショップで商品を販売する場合も特定商取引法の対象になりますか。
消費者(BtoC)に対して行う通信販売であれば対象になります。特定商取引法は媒体を限定しておらず、インターネット上のホームページを通じた広告や申込みの受付を通信販売として扱います。一方、営業のため、又は営業として締結する取引(BtoB)は法第26条により適用が除外されます。
Q2. 表示事項をすべて広告に書ききれない場合はどうすればよいですか。
消費者からの請求により、遅滞なく書面又は電子メールを提供する体制を整え、その旨を広告に表示すれば、法第11条ただし書により一部の事項を省略できます。ただし返品に関する事項やソフトウェアの動作環境など、条件にかかわらず省略が認められない項目もあります。
Q3. SNS投稿から外部LPに遷移して申込みを受ける場合、どこに表示義務が及びますか。
特定申込みに該当する場面では、申込書面又は最終確認画面に必要事項を表示する義務があります。SNS投稿から遷移した先のカート画面や決済直前の画面が、この最終確認画面に該当します。
Q4. 返品を一切受け付けない設定にすることはできますか。
事業者が広告であらかじめ返品に関する特約を明確に表示していれば、その特約が優先されます。特約の表示がなければ、商品の引渡しを受けた日から8日以内、消費者の送料負担で契約の申込みの撤回・解除ができるという法定のルールが適用されます。
Q5. SNS経由のメルマガ配信にもオプトイン規制はかかりますか。
電子メール広告は、消費者があらかじめ承諾しない限り送信できないオプトイン規制の対象です。承諾や請求を受けた記録は、最後に広告を送信した日から3年間保存することが必要です。
Q6. 表示義務に違反すると、どのような対応を受けますか。
業務改善の指示や業務停止命令、役員等の業務禁止命令といった行政処分の対象になるほか、一部は罰則の対象にもなります。また、要件を満たす適格消費者団体から行為の停止等を請求される場合もあります。

まとめ

SNS経由の通信販売は、Instagramショップ、TikTok Shop、SNS広告からのLP誘導など形態が増えるほど、特定商取引法の表示義務を見落とすリスクも高まる。まず自社の販売が消費者(BtoC)向けか、営業のため・営業として締結する取引(BtoB)かを切り分け、BtoCであれば広告表示事項(法第11条)、特定申込み時の表示(法第12条の6)、返品に関する表示(法第15条の3)の3点を軸に確認することが出発点になる。あわせて誇大広告の禁止やメール広告のオプトイン規制も、SNS運用の現場で日常的に関わる規制である。

これらの確認項目は一度整えて終わりではなく、販売チャネルの追加や担当者交代のたびに見直しが必要になる。社内のSNS運用担当・EC担当・法務・外注先で確認項目とタイミングを分担し、消費者庁の公式ガイドという一次情報に立ち戻って判断する体制を作っておくことが、表示義務違反のリスクを継続的に抑える実務対応になる。

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