企業SNSのステマ規制対応|PR表記の要否と社内チェックの作り方

企業SNSのステマ規制対応|PR表記の要否と社内チェックの作り方
📅 公開日: 2026年9月15日🔄 最終更新: 2026年10月30日

自社のインスタグラム投稿、社員の個人アカウントでの紹介、依頼しているインフルエンサーの投稿。その一つひとつに、「PR」や「広告」の表記は本当に必要なところへ入っているでしょうか。

逆に、表記が不要な投稿にまで律儀に「PR」と入れて、発信の自然さを損なっていないでしょうか。

2023年10月1日、景品表示法にステルスマーケティング規制が新たに加わりました。消費者庁の告示により、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」は不当表示として規制対象になっています。

ただしこの規制が及ぶのは「事業者(広告主)」であり、依頼を受けて投稿するインフルエンサー本人は原則として規制対象に含まれません。この「誰の責任か」という線引きが曖昧なまま運用している企業のSNS担当者は、決して少なくないはずです。

S.Lineは法人のSNS運用代行・コンサルティングを行う立場として、「このインフルエンサー施策にPR表記は必要なのか」「運用代行に任せている投稿の責任は自社とどちらにあるのか」という相談を日常的に受けます。

景品表示法は個別の事案ごとの事情を総合的に考慮して判断される法律であり、この記事だけで個別の適法性を断定することはできません。

それでも、消費者庁が公表している告示・運用基準・Q&Aという一次情報に基づいて、実務で使える判断の軸と社内チェックフローの型を整理することはできます。

この記事では、規制の対象と責任範囲の整理から、施策パターン別のPR表記の要否、社内チェックフローの作り方までを順番に解説します。

最終的な個別事案の適法性については、消費者庁の公表資料や専門家への確認を前提に、自社の運用ルールを見直す材料として活用してください。

目次

ステルスマーケティング規制とは何か――景品表示法が定める「事業者の表示」

ステルスマーケティング規制とは、景品表示法第5条第3号に基づく告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」により、事業者(広告主)の広告を第三者の感想であるかのように見せる表示を不当表示として禁止する仕組みを指す。

消費者庁は、2023年3月28日付の内閣府告示第19号として「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を定め、2023年10月1日から施行しました(消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(内閣府告示第19号))。根拠となっているのは、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第5条第3号です。

消費者庁の解説ページによれば、「広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すこと」がいわゆるステルスマーケティングであり、景品表示法は、消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るために、この種の表示を規制する必要があるとしています。規制の対象になるのはインターネット上の表示(SNS投稿、レビュー投稿など)だけでなく、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌等の表示も含まれる一方、個人の感想等の広告でないものや、テレビCMのように広告であることが分かるものは対象外とされています(消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)。

規制対象になるのは事業者(広告主)だけ――インフルエンサーの責任はどこまでか

規制対象になるのは、自己の供給する商品・役務の表示内容の決定に関与した事業者(広告主)であり、依頼を受けて投稿するインフルエンサーやアフィリエイターは、原則として規制対象に含まれない。

消費者庁のQ&Aは、規制対象について明確に整理しています。「ステルスマーケティング告示の規制対象となるのは、景品表示法における他の不当表示規制と同様に、自己の供給する商品又は役務の取引に関する表示について、その内容の決定に関与した事業者(いわゆる広告主)」であり、「広告主から広告・宣伝の依頼を受けて表示(例えば、SNSへの投稿等)を行うインフルエンサーやアフィリエイターは規制の対象外」とされています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q1)。

ただし、この整理には例外があります。同じQ&Aは、インフルエンサー等が広告主と共同して商品等を供給しているという例外的な場合には、当該インフルエンサー等も規制の対象となると明記しています。

自社アカウントでの発信、従業員個人の投稿、インフルエンサーへの依頼、運用代行への委託と、投稿の主体が増えるほど「誰が規制対象になり得るか」を最初に整理しておく必要があります。

自社の公式アカウント・従業員個人SNSが「事業者の表示」と判断される基準

従業員が自身のSNSで自社商品を紹介する行為は、投稿しただけで直ちに「事業者の表示」になるわけではなく、その従業員の地位・立場・権限・担当業務・表示目的等の実態を踏まえて総合的に判断される。

公式アカウントからの発信は、運用基準上「事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭である」例として扱われており、通常は告示の対象になりません。悩ましいのは、従業員が個人アカウントで自社商品を紹介するケースです。

消費者庁のQ&Aは、「従業員が、自身のSNSアカウントを利用して、自社の商品を使用した感想を投稿したとしても、それだけで直ちに、その投稿が告示に違反する(『事業者の表示』に当たる)と判断されることはありません」としながらも、「当該従業員の事業者内における地位、立場、権限、担当業務、表示目的等の実態によっては、事業者が表示内容の決定に関与していると認められ」る場合があるとしています(Q3)。具体的には、販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員など、商品・役務の販売促進が必要とされる地位や立場にある人物が、自社製品の認知向上や競合製品との比較に言及するような投稿を行う場合は、「事業者の表示」に当たると考えられます。既存の投稿を棚卸しする際は、投稿者の立場と投稿内容の両面からチェックする視点が欠かせません。投稿の点検項目を体系立てて整理したい場合は、法人Instagramアカウント監査の項目一覧|確認手順と判断基準で扱っている監査項目が参考になります。

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インフルエンサー施策で「事業者の表示」に当たるかどうかの判断軸

インフルエンサー投稿が「事業者の表示」に当たるかどうかは、事業者が投稿内容の決定に関与しているかどうか、すなわち投稿者の自主的な意思による表示内容と認められるかどうかで判断される。

運用基準は、事業者が第三者(インフルエンサー等)に対してある内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、「事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があり」、客観的な状況に基づき第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない場合には、事業者の表示になり得るとしています。

判断材料として挙げられているのは、具体的なやり取りの内容、対価の内容とその提供理由、事業者と第三者の取引関係の有無などです。

消費者庁のQ&Aでは、街頭で不特定多数に試供品を無償配布し「感想をSNSに投稿してください」と声掛けするだけのケースは、通常「事業者の表示」に当たらないとされています(Q4)。

一方で、特定のインフルエンサーを選んで商品を無償提供し、投稿を依頼するケースは、そのインフルエンサーとの関係性次第で「事業者の表示」に当たり得るとされ(Q5)、報酬を払って感想の投稿を依頼するケースは、投稿内容の指定がなくても「事業者の表示」に該当する可能性が高いとされています(Q19)。

「無償か有償か」「投稿内容の指定があるか」だけでなく、依頼の経緯や関係性の継続性まで含めて判断する必要がある点は、実務上見落とされやすいポイントです。

施策パターン別・PR表記の要否と責任範囲

PR表記の要否は、投稿内容の指定の有無・対価の内容・依頼者と投稿者の関係性という3つの要素の組み合わせによって決まり、施策パターンごとに機械的に一律で決められるものではない。

ここまでの判断軸を、消費者庁のQ&Aで示されている代表的な施策パターンに当てはめて整理すると、以下のようになります。

あくまで消費者庁が示した典型例に基づく整理であり、個別の契約内容や関係性によって判断が変わる場合がある点には注意してください。

施策パターン 「事業者の表示」への該当 PR表記等の要否 主な責任の所在 根拠(公式資料)
街頭サンプリングで試供品を無償配布し、内容を指定せず感想の投稿を依頼 通常は該当しない 通常は不要 事業者側の追加対応は基本的に不要 Q&A Q4
特定のインフルエンサーへ無償で商品を提供し、内容を指定せず投稿を依頼 関係性次第で該当し得る 関係性によっては必要 広告主が関係性を精査しPR表記を依頼 Q&A Q5・Q17
インフルエンサーへ報酬を払って感想の投稿を依頼(内容の指定なし) 該当する可能性が高い 必要 広告主がPR表記を明確に依頼 Q&A Q19
販売促進が求められる立場の従業員が自身のSNSで自社商品を紹介 該当し得る 必要 事業者(社内ルールで表記を指示) 運用基準第2・1・(1)、Q&A Q3
販売促進の立場にない従業員が自身のSNSで自社商品を紹介 通常は該当しない 通常は不要 ― 運用基準第2・1・(1)、Q&A Q3
口コミ投稿を条件に割引を提供(投稿内容の指定なし) 通常は該当しない 通常は不要 ― Q&A Q6前段
口コミ投稿の評価点や感想文言を条件に割引・クーポンを提供 該当する 必要 事業者が条件設定時に表記も条件化 Q&A Q6後段
インフルエンサー投稿を自社サイトに「お客様の声」として転載 元の投稿が該当する場合は転載時も該当 Q&Aは「お客様の声」としての掲載自体が適当でないとする 事業者(掲載の可否から判断) Q&A Q16
アフィリエイタープログラムを用いた表示 該当する 必要 広告主(表記をアフィリエイターに求める) 運用基準第2・1・(2)、Q&A Q13

表からも分かる通り、「無償提供」「割引」「懸賞」といった対価の性質そのものよりも、投稿内容をどこまで指定しているか、事業者と投稿者の関係性がどの程度続いているかが判断の分かれ目になっています。

同じ「商品を無償提供して感想を依頼する」施策でも、街頭サンプリングとインフルエンサーへの個別提供とでは結論が変わり得ることは、社内のルール作りにおいて特に共有しておくべき点です。

PR表記の正しい書き方――「広告」「PR」以外に使える表現

「事業者の表示」であることを明瞭にする方法として、運用基準は「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」の用語のほか、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章による表示も適切な方法として例示している。

運用基準は、一般消費者にとって「事業者の表示」であることが明瞭となっていると認められる例として、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった文言による表示のほか、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章による表示を挙げています。

消費者庁のQ&Aも、この2つの方法以外にも表示内容全体から一般消費者にとって「事業者の表示」であることが明瞭になっていれば認められるとした上で、「私は〇〇社の社員です」といった所属の明示だけでは、必ずしも『事業者の表示』であることが明瞭になっているとはいえないとしています(Q12)。

アフィリエイトサイトについても同様で、冒頭に「このサイトはアフィリエイト広告を利用しています」と記載していても、文字のサイズや色を含め、表示内容全体から一般消費者にとって明瞭かどうかが問われます(Q13)。

「表記さえ入れれば良い」という発想ではなく、その表記が一般消費者にとって実際に気づかれる形になっているかを、依頼先への指示段階から確認しておく姿勢が求められます。

SNS投稿・動画で「不明瞭な表示」と判断される具体例

運用基準は、表記が全く記載されていない場合だけでなく、表記はあっても位置・大きさ・タイミングによって一般消費者が気づきにくい「不明瞭な表示」も、告示違反に当たり得る類型として具体的に例示している。

運用基準は、「事業者の表示であることが不明瞭な方法で記載されているもの」の具体例として、文章の冒頭と本文中で「広告」と「第三者としての感想」という矛盾した記載が混在している場合、動画で一般消費者が認識できないほど短い時間しか表示していない場合、表示の末尾など視認しにくい位置にのみ記載している場合、周囲の文字より小さい・薄い色で表記している場合、大量のハッシュタグの中に表記を埋もれさせている場合などを挙げています。

消費者庁のQ&Aも同様の観点から、SNS投稿の本文ではなくツリー(リプライ)にだけ「広告」と記載している場合は、「通常、一般消費者が当該記載に気付かないおそれがあり、事業者の表示であることが明瞭とはいえない場合が多い」としています(Q14)。

動画についても、視聴者が途中から視聴する可能性を踏まえ、冒頭だけの表示では見逃されるおそれがあるとし、「画面上に常に『広告』と表示するなど、動画全体を通して『事業者の表示』であることが明瞭となるようにしておくことが望ましい」としています(Q15)。

ショート動画やストーリーズなど視聴のされ方が多様なフォーマットほど、表記の位置と持続時間を意識した設計が必要です。

口コミ・レビュー投稿キャンペーンを設計する際の注意点

口コミ・レビュー投稿を条件に割引や特典を提供する施策は、投稿内容を具体的に指定しない限り通常「事業者の表示」に当たらないが、評価点や感想の文言を条件にした瞬間に「事業者の表示」へと切り替わる。

消費者庁のQ&Aは、サービス利用後の口コミ投稿を条件に割引価格でサービスを提供するケースについて、「口コミ投稿の内容についての指示は含まれていません」「割引程度の対価であることも踏まえれば、表示内容の決定に関与しているとはいえません」として、通常は「事業者の表示」に当たらないとしています(Q6前段)。

一方で、同じ施策でも「星5(☆☆☆☆☆)を付けること」を条件にした場合は、「事業者は表示(投稿)の内容を決定している」として『事業者の表示』に当たると明記されています(Q6後段)。

ECサイトのレビュー投稿を条件に次回使えるクーポンを提供する施策も、Q6と同様の考え方で、通常は「事業者の表示」に当たらないとされています(Q7)。また、レビュー投稿の中に客観的な事実に反する内容や他社の名誉を毀損する内容が含まれる場合に修正を依頼すること自体は、「事業者が自己の供給する商品・サービスの品質、規格、その他の内容や価格等の取引条件について行う表示の内容の決定に関与していると評価することはできない」ため「事業者の表示」には当たらないとされています(Q9)。ただし、自社に都合の良い内容へ改めるよう依頼した場合は「事業者の表示」に当たり得るとも付言されており、「修正依頼」という名目であっても、依頼の中身次第で結論が変わる点は運用担当者が把握しておくべきです。UGC施策全体の設計を見直す際は、UGCマーケティング企業活用事例10選|成功戦略を解説もあわせて参照してください。

運用代行に委託する場合の責任分担と契約チェックポイント

SNS運用を外部委託していても、景品表示法上の規制対象は投稿内容の決定に関与した事業者(広告主)であり、委託先に任せきりにすることは規制対象からの離脱を意味しない。

消費者庁のQ&Aが示す通り、規制対象は「自己の供給する商品又は役務の取引に関する表示について、その内容の決定に関与した事業者(いわゆる広告主)」です(Q1)。

運用代行会社に投稿の実作業を委託していても、投稿内容の方針や施策の設計に発注元の事業者が関与している限り、規制上の責任は発注元にあると考えるのが実務上安全です。委託しているからといって、社内でのチェックを省略できるわけではありません。

契約段階では、「事業者の表示」に当たり得る投稿の類型と、その場合のPR表記ルールを委託先と事前にすり合わせておくことが実務的な対策になります。

委託範囲・報告フロー・修正依頼の権限を契約書やオリエンシートに明記し、投稿前レビューの主体をどちらが担うかまで取り決めておくと、事後に「表記の要否をどちらが判断すべきだったのか」で揉める事態を避けやすくなります。

委託先選定や契約範囲の整理には、SNS運用外注の失敗事例10選と原因、2026年最新や法人向けSNS運用代行の費用相場と選び方で扱っている契約範囲の考え方も参考になります。

違反した場合の措置――措置命令・指導・課徴金の関係

ステルスマーケティング告示に違反した場合、消費者庁は事業者に対して誤認排除・再発防止策の実施等を命じる「措置命令」を行い、違反のおそれがある段階では「指導」を行う。

消費者庁のQ&Aは、違反した場合の措置について次のように説明しています。「ステルスマーケティング告示に違反する行為が認められた場合、消費者庁は、当該行為を行っている事業者に対し、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる『措置命令』(行政処分)を行います」。

ステルスマーケティング単体の違反は課徴金納付命令の対象にはなりませんが、「違反行為の内容に優良誤認表示又は有利誤認表示が含まれる場合は、当該行為が課徴金納付命令の対象となることがあります」とも付言されています。

違反の事実までは認められなくても、違反のおそれがある行為が見られた場合には「指導」(行政指導)が行われるとされています(Q2)。

また見落とされがちなのが、施行日以前の投稿の扱いです。消費者庁のQ&Aは、「告示は令和5年10月1日から施行されましたが、同日よりも前の時期に行われた『事業者の表示』に当たる投稿が、施行後も継続して表示されている場合、『事業者の表示』であることが明瞭となっていなければ、告示に違反する不当表示として、行政処分の対象となる可能性があります」としています(Q20)。過去のキャンペーン投稿やインフルエンサー投稿が、削除されずにアーカイブとして残っている場合は、施行日より後の話として今から点検する対象になります。措置命令を受けた場合の社内対応や、炎上リスクへの備え方は、企業SNS炎上を防ぐ7つの対策|万が一の対応マニュアルとリスク管理で扱っているリスク管理の考え方も参考になります。なお、個別の投稿が実際に措置命令の対象となるかどうかは事案ごとの総合判断であり、この記事の説明だけで適法性を断定することはできません。判断に迷う投稿については、消費者庁の公表資料や弁護士など専門家への確認をおすすめします。

社内チェックフローの作り方

社内チェックフローとは、施策設計から公開後モニタリングまでの各工程で誰が何を確認するかをあらかじめ定めた運用手順であり、担当者の属人的な判断にPR表記の要否を委ねない仕組みを指す。

ここまで見てきた判断軸を、都度ゼロから考えるのではなく、あらかじめ工程として組み込んでおくことが、担当者が変わっても判断のブレを抑える方法になります。以下は、消費者庁の運用基準・Q&Aで示されている論点を踏まえた工程表の一例です。

工程 実施タイミング 担当 チェック内容
施策設計 企画時 マーケ責任者・SNS担当 投稿者(自社アカウント/従業員/インフルエンサー/運用代行)を明確化し、対価の有無・内容を記録する
依頼内容の文書化 発注・依頼時 SNS担当 オリエンシートや契約書に、投稿内容の指定有無、対価の内容とその提供理由を明記する
PR表記ルールの指定 依頼書作成時 SNS担当 「事業者の表示」に該当し得る場合、表記の文言・位置を依頼書へ明記する
投稿前レビュー 投稿前 承認者(上長・広報) 表記が本文冒頭付近にあるか、文字サイズ・色・大量のハッシュタグへの埋没がないかを確認する
動画コンテンツの追加確認 投稿前(動画のみ) 承認者 動画全体を通じて表記が視認できるか、冒頭のみの表示で終わっていないかを確認する
公開後モニタリング 公開後 SNS担当 表記の削除・改変がないか、リプライ欄への表記変更がないかを定期的に確認する
記録保管・定期棚卸し 継続(四半期等) 管理部門・法務 依頼内容・投稿URL・スクリーンショットを保管し、施行前からの投稿も含めて棚卸しする

特に重要なのは、「投稿前レビュー」と「公開後モニタリング」を分けて設計することです。依頼段階で表記のルールを明記していても、投稿者側の編集や、SNS側の表示仕様変更によって、公開後に表記が見えづらくなるケースは起こり得ます。

この工程表を土台に、自社の運用ガイドラインとして文書化しておくと、担当者の異動や委託先の変更があっても判断基準を引き継ぎやすくなります。ガイドライン全体の項目立てや承認フローの作り方は、企業SNS運用ガイドラインの作り方|項目・承認フロー・浸透手順で解説している内容と合わせて設計すると、ステマ規制の項目だけが浮いた形にならず、既存の運用ルールに自然に組み込めます。

まとめ

ステルスマーケティング規制は、2023年10月1日から景品表示法の一部として施行され、規制対象は投稿内容の決定に関与した事業者(広告主)です。依頼を受けて投稿するインフルエンサー本人は、原則として規制対象に含まれません。

この線引きを社内で正しく共有できていないと、本来PR表記が必要な投稿を見落とすだけでなく、逆に不要な投稿にまで表記を入れて発信の効果を落とすことにもつながります。

実務で押さえておきたいのは、投稿内容の指定の有無、対価の内容とその提供理由、事業者と投稿者の関係性という3つの要素です。

この記事で整理した判定表と社内チェックフローを土台に、自社の施策パターンに当てはめて社内ルールを文書化しておくことが、担当者の異動や委託先の変更があっても判断基準がぶれない体制につながります。

個別の投稿が実際に告示に違反するかどうかの最終判断は、消費者庁の公表資料や専門家への確認を前提にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自社の公式SNSアカウントからの投稿にもPR表記は必要ですか。
運用基準は、事業者自身のSNSアカウントを通じた表示について「事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭である」例として挙げており、通常は告示の対象になりません。なお運用基準は、事業者自身のウェブサイトについて、専門家の客観的な意見であるかのように見せて実際は事業者が依頼した内容である部分は明瞭な表示が必要としています。公式SNSアカウント内で同様の見せ方をした場合の取り扱いは、この記述をそのままSNSへ当てはめたものではないため、消費者庁の公表資料や専門家に確認してください。個別の投稿が対象になるかどうかは、消費者庁の公表資料や専門家に確認してください。
Q2. 運用代行会社に投稿を任せている場合、規制上の責任は運用代行会社にありますか。
消費者庁のQ&Aは、規制対象を「自己の供給する商品又は役務の取引に関する表示について、その内容の決定に関与した事業者(いわゆる広告主)」と説明しています。投稿の実作業を委託していても、施策の方針や投稿内容の決定に発注元の事業者が関与している限り、規制上の責任は発注元にあると考えるのが実務上安全です。
Q3. 従業員が個人のアカウントで自社商品を紹介する場合もPR表記は必要ですか。
従業員が自身のSNSで自社商品の感想を投稿しただけで直ちに「事業者の表示」になるわけではなく、その従業員の地位・立場・権限・担当業務・表示目的等の実態を踏まえて判断されます。商品・役務の販売促進が必要とされる立場(役員、開発・販売担当、担当チームの一員等)にある場合は、「事業者の表示」に当たりやすいとされています。
Q4. 「PR」ではなく別の文章でも表記として認められますか。
運用基準は「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」以外にも、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章による表示を、事業者の表示が明瞭になっている例として挙げています。表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが分かりやすくなっていれば、用語自体は柔軟に選べます。
Q5. 2023年10月1日より前に投稿した内容も見直す必要がありますか。
告示の施行前に行われた「事業者の表示」に当たる投稿でも、施行後も継続して表示され、表示が明瞭になっていない場合は、告示に違反する不当表示として行政処分の対象となる可能性があるとされています。過去のキャンペーン投稿やインフルエンサー投稿がアーカイブとして残っている場合は、点検の対象に含めることをおすすめします。
Q6. 違反するとどのような処分を受けますか。
違反行為が認められた場合、消費者庁は事業者に対して誤認の排除や再発防止策の実施などを命じる「措置命令」(行政処分)を行うとされています。ステルスマーケティング単体では課徴金納付命令の対象になりませんが、表示に優良誤認表示・有利誤認表示が含まれる場合は課徴金納付命令の対象となることがあります。違反のおそれがある段階では「指導」(行政指導)が行われます。
Q7. 動画コンテンツのPR表記はどこに入れればよいですか。
動画は視聴者が途中から見ることもあるため、冒頭だけの表記では見落とされるおそれがあるとされています。画面上に常に表示するなど、動画全体を通じて事業者の表示であることが明瞭になるようにしておくことが望ましいとされています。

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