企業SNS広告のタグ・Cookie対応|外部送信規律の実務チェック

📅 公開日: 2026年9月26日🔄 最終更新: 2026年9月28日

企業SNS広告のリターゲティング用に設置したタグ、LINE公式アカウントの友だち追加ボタン、アクセス解析ツール。自社のコーポレートサイトやランディングページ(LP)にこうした仕組みを組み込んでいる企業は多いはずですが、それらのタグが利用者の端末からどのような情報をどこへ送信しているのか、利用者に確認の機会を与える義務があるかもしれないことまで意識できているでしょうか。

2022年6月に改正された電気通信事業法には、「外部送信規律」と呼ばれる規律が新たに加わり、2023年6月16日から施行されています。総務省の解説によれば、外部送信規律とは「電気通信役務を提供する事業者に対し…利用者に関する情報の内容や送信先について、当該利用者に確認の機会を付与する義務を課すもの」です(総務省「外部送信規律FAQ」問1-1)。

S.Lineは法人のSNS運用代行・コンサルティングを行う立場として、「自社のコーポレートサイトも対象になるのか」「SNS広告のタグを増やしても大丈夫か」という相談を受けることがあります。外部送信規律は、個別のウェブサイト・アプリの構成や提供実態によって該当性の判断が変わる規律であり、この記事だけで自社の個別ページの該当性を断定することはできません。それでも、総務省が公表している法令・ガイドライン・FAQ・パンフレットという一次情報に基づいて、実務で使える判断の軸を整理することはできます。

この記事では、企業SNS広告のタグ対応を軸に、規律の対象になる事業者と役務の範囲、通知・公表しなければならない事項と方法、確認の機会が不要になる例外、そして自社サイト・LPのタグを棚卸しするチェックリストまでを順番に解説します。最終的な個別ページの該当性については、総務省の公表資料や専門家への確認を前提に、自社の運用ルールを見直す材料として活用してください。

目次

外部送信規律とは何か――改正電気通信事業法が定める「確認の機会」の付与義務

外部送信規律とは、電気通信事業を営む事業者が、利用者の端末に記録された情報を外部へ送信するよう指令するプログラム等を送信する際に、送信される情報の内容や送信先について利用者に確認の機会を付与することを義務付ける、改正電気通信事業法第27条の12に基づく規律を指す。

総務省の「外部送信規律FAQ」は、規律の概要を次のように説明しています。「利用者のパソコンやスマートフォン等の端末で起動されるブラウザやアプリケーションを通じて電気通信役務を提供する事業者が、利用者の端末に対して、当該端末に記録された利用者に関する情報を外部に送信するよう指令するプログラム等を送信することがあります。外部送信規律は、このような場合において、電気通信役務を提供する事業者に対し、当該プログラム等により送信されることとなる利用者に関する情報の内容や送信先について、当該利用者に確認の機会を付与する義務を課すものです」(総務省「外部送信規律FAQ」問1-1)。

確認の機会を与える方法は一つではありません。同FAQは、「確認の機会の付与の方法としては、通知、利用者が容易に知り得る状態に置く(いわゆる公表)、同意取得又はオプトアウト措置の提供のいずれかを行う必要があります」としています(同FAQ問1-1)。根拠となる法律は電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第27条の12で、具体的な要件を定める総務省令は電気通信事業法施行規則(昭和60年郵政省令第25号)第22条の2の27から第22条の2の31までです(総務省「外部送信規律|法令・ガイドライン・パンフレット」)。

総務省が公表しているパンフレットは、施行日について「改正電気通信事業法の施行(2023年6月16日)に先立ち、外部送信規律及び特定利用者情報の適正な取扱いに関する規律に関する記載を追加します」と説明しており、この規律が「電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン」(令和4年個人情報保護委員会・総務省告示第4号)第51条にも位置づけられていることを示しています(総務省「外部送信規律|法令・ガイドライン・パンフレット」、総務省「外部送信規律について」(パンフレット))。SNS広告やLINE公式アカウントの運用を担当する部署だけでなく、コーポレートサイトやLPを管理する部署も、この規律の対象になり得るかどうかを一度確認しておく価値があります。効果測定のために設置しているタグの棚卸しは、SNS運用の効果測定|見るべき指標と分析ツール・2026年の最新情報で扱っている計測設計の見直しとあわせて進めると効率的です。

規律の対象になる事業者――「電気通信事業を営む者」とは

外部送信規律の対象になるのは、電気通信事業者又は電気通信事業法上の「第三号事業を営む者」、すなわち電気通信事業を営む者であり、電気通信事業に該当しない事業を行っている場合はそもそも法の適用を受けない。

総務省のFAQは、対象事業者について「電気通信事業者又は第三号事業を営む者(いずれも電気通信事業を営む者)で、『利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務』を提供している電気通信事業者」と説明した上で、「『電気通信事業(電気通信事業法…第2条第4号)』を営んでいない場合は、法の適用を受けないので、仮に情報の外部送信が行われていたとしても、外部送信規律の対象にはなりません」と明記しています(総務省「外部送信規律FAQ」問1-8)。

「電気通信事業に該当するかどうか」の分かれ目として、同FAQは小売業者の例を挙げています。「小売業者がウェブサイトを開設して商品販売を行う場合は、本来業務である小売業の遂行の手段として電気通信を用いているに過ぎず、自己の需要のために電気通信サービスを提供しているため、『電気通信事業』に該当せず、外部送信規律も適用されません」(同FAQ問1-12)。一方、複数の店舗が出店できるオンラインショッピングモールのように「場」を提供するサービスは、「電気通信事業」に該当し、さらに『利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務』にも該当します(同FAQ問1-14)。自社の看板事業がSNS運用代行やコンサルティングであっても、運営しているウェブサービスの性質によって判断が分かれる点は押さえておく必要があります。

「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」の4類型

「利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務」とは、電気通信事業法施行規則第22条の2の27が定める4つの類型のいずれかに該当し、かつブラウザやアプリケーションを通じて提供される役務を指す。

総務省のFAQは、対象となる役務を次の4類型に整理しています。「(1)利用者間のメッセージ媒介等(同条第1号)、(2)SNS、電子掲示版、動画共有サービス、オンラインショッピングモール等(同条第2号)、(3)オンライン検索サービス(同条第3号)、(4)ニュース配信、気象情報配信、動画配信、地図等の各種情報のオンライン提供(同条第4号)」です(総務省「外部送信規律FAQ」問1-9)。

号 類型 内容 具体例
第1号 メッセージ媒介 特定の利用者間のメッセージ交換を媒介するもの メッセージングアプリ、web会議システム、マッチングサイトのDM機能等
第2号 不特定多数への「場」の提供 投稿・閲覧機能で発信者と閲覧者がやり取りする場を提供するもの SNS、電子掲示板、動画共有サービス、オンラインショッピングモール、ライブ配信等
第3号 オンライン検索サービス 検索語に対応する全てのウェブページの所在情報を出力する機能を持つもの 汎用の検索エンジン(特定分野限定の検索は第4号に該当)
第4号 各種情報のオンライン提供 インターネット経由で各種情報を利用者へ提供するもの ニュース配信、気象情報配信、動画配信、地図情報の提供等

この4類型は排他的なものではなく、複数の号に同時に該当する場合もあります。総務省のFAQは、ユーザー間のメッセージ機能とコメント機能を併せ持つマッチングプラットフォームについて、「オンラインショッピングモールと同様、第2号により『利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務』に該当します。また、コメント機能…、ユーザー間でメッセージのやりとりをする機能…があることからも」該当すると説明しています(同FAQ問2-6)。また、乗換案内サービスのように特定分野に限定した検索サービスは、「『全てのウェブページ』の所在に関する情報を検索できるものではないので、同第3号のオンライン検索サービスには該当しませんが、各種情報のオンライン提供として、同第4号により…該当します」とされています(同FAQ問2-5)。自社が複数の機能を組み合わせたサービスを提供している場合は、機能ごとに該当性を確認する視点が必要です。

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自社の会社案内ページ・ECサイトが対象外になる考え方

企業が自己の情報発信のために運営するホームページや、小売業者が自社ウェブサイトで行う商品販売は、電気通信役務を自らの本来業務の手段として使っているに過ぎず「電気通信事業」に該当しないため、外部送信規律の対象にならない。

総務省が公表しているパンフレットは、対象外となる典型例として、小売業者が提供するオンラインショッピングやネットバンキングなど「インターネット経由で顧客からの要求・注文に対応するもの」、そして企業・個人等が「自己の情報発信のため(自己の需要のため)に運営している」企業ホームページや個人ブログを挙げています(総務省「外部送信規律について」(パンフレット))。同パンフレットが示す判断フローチャートでも、対象サービスを「自己(サービス提供者自身)の情報発信のために提供している」場合や、「電気通信役務を前提としない、別の自らの本来業務の遂行手段として活用している」場合は、いずれも電気通信事業法の適用対象外になると整理されています(同パンフレット)。

総務省のFAQも同じ考え方に立ち、「サービスの案内ページについては、自己の需要によるものであり、電気通信事業に該当しませんので、外部送信規律の対象にはなりません」(総務省「外部送信規律FAQ」問1-18)、「来店予約のページは自己の需要によるものであり、『電気通信事業』に該当しないため、外部送信規律も適用されません」(同FAQ問1-19)としています。ただし同じ問1-18は、「ユーザーサポートページやユーザー向けのポータルページは、自己の需要によるものではないため、付随する元のサービスが外部送信規律の対象であれば…適用対象となります」とも付言しており、「自己の情報発信かどうか」はページ単位で見極める必要がある点に注意してください。

ニュース配信・コラム記事の配信ページが対象になり得るケース

同一ウェブサイト内でも、各種情報のオンライン提供として不特定多数向けに情報を配信しているページと、自己の情報発信のための会社案内ページとでは、外部送信規律の該当性判断が分かれる。

総務省のFAQは、ニュース配信ページと会社案内ページが同居するウェブサイトの扱いについて、次のように明確に線を引いています。「ニュース配信を行っているページについては、各種情報のオンライン提供サービスとして、第4号に該当するため、外部送信規律に対応いただく必要があります。他方、同じウェブサイトの会社案内のページについては、自己の情報発信のために運営していると考えられ、『電気通信事業』には該当しないため、同じウェブサイト内の当該ページにおいて外部送信が行われていたとしても、外部送信規律に対応いただく必要はありません」(総務省「外部送信規律FAQ」問2-12)。同FAQは、利用者数が少ないニュース配信サイトについても「当該機能を利用するユーザーが少ないことは、『利用者の利益に及ぼす影響が少なくない電気通信役務』であるか否かの判断に影響しません」としており(同FAQ問1-11)、アクセス数の多寡は該当性の判断材料にならないとされています。

この線引きを、自社サイトのどのページに当てはめるかは、ページの性質と提供実態によって決まります。総務省が示すフローチャートは、判断の出発点として次の順序で確認する構成になっています。

確認順序 質問 YESの場合
質問1 ブラウザ/アプリを通じて各種情報のオンライン提供サービス等を行っているか 外部送信規律の適用対象役務に該当する可能性あり(質問2へ)
質問2 当該サービスを自己(サービス提供者自身)の情報発信のために提供しているか 自己の需要のために提供するものであるため、電気通信事業法の適用対象外
質問3 電気通信役務を前提としない、別の自らの本来業務の遂行手段として活用しているか 自己の需要のために提供するものであるため、電気通信事業法の適用対象外
質問4 当該サービスを行うことで利益を得ようとしているか(実際に利益が出ていない場合を含む) 電気通信事業を「営む」に該当し、外部送信規律の対象

(総務省「外部送信規律について」(パンフレット)のフローチャートを基に整理)。自社が運営するオウンドメディアやコラム記事の配信ページがこのどこに位置づけられるかは、記事の内容が自社サービスの紹介にとどまっているか、不特定多数への情報提供として運営しているか等の実態によって変わります。機械的に決めつけず、判断に迷うページについては総務省の公表資料や専門家に確認することをおすすめします。

SNS広告のリターゲティングタグ・LINE公式アカウントタグの扱い

外部送信規律はターゲティング広告自体を規制するものではなく、リターゲティング用のタグを設置しているウェブページが電気通信事業に該当し、かつ対象4類型のいずれかに当たるかどうかによって規律の適用有無が決まる。

総務省のFAQは、「外部送信規律はターゲティング広告自体を規制するものではありません」と明言しています(総務省「外部送信規律FAQ」問1-6)。規制されるのは広告の中身ではなく、「利用者の端末から外部に情報を送信するよう指令するプログラム等を利用者の端末に送信する行為全般」であり、同FAQは「このような行為を行っていれば、Cookieを利用していなかったとしても規律対象となります」とも説明しています(同FAQ問1-7)。

したがって、自社のコーポレートサイトが会社案内ページのみで構成され、自己の情報発信として運営されている場合、そこに設置したリターゲティング用タグが直ちに外部送信規律の対象になるとは限りません。一方、SNSプラットフォーム自体(Instagram、LINE等)は、各SNS事業者がSNS・メッセージ媒介として第1号・第2号に該当するサービスを提供しており、SNS事業者自身の外部送信規律対応はSNS事業者の責任です。広告主である企業が確認すべきなのは、自社が運営するウェブページ・アプリのうち、外部送信規律の対象になり得るページの洗い出しです。Instagram広告の予算配分やリターゲティング設計を見直す際は、Instagram広告の運用代行費用と効果|月額予算別の成果シミュレーションで扱っている運用設計とあわせて、設置しているタグの棚卸しも行っておくと安心です。

通知・公表しなければならない3つの事項

規律対象事業者が通知又は利用者が容易に知り得る状態に置かなければならないのは、送信される利用者に関する情報の内容、その情報を取り扱うこととなる者の氏名又は名称、その情報の利用目的という3つの事項である。

総務省のパンフレットは、通知又は公表しなければならない事項として「(1)送信されることとなる利用者に関する情報の内容」「(2)1の情報を取り扱うこととなる者の氏名又は名称」「(3)1の情報の利用目的」の3点を挙げています(総務省「外部送信規律について」(パンフレット))。それぞれの記載レベルについて、総務省のFAQはさらに具体的な解説を加えています。

事項 記載すべき内容 根拠(FAQ)
情報の内容 Cookieに保存されたIDや広告ID等の識別符号、利用者が閲覧したウェブページのURL等の行動情報、氏名等、利用者以外の者の連絡先情報等を含む「利用者の端末に記録されている利用者に関する情報全般」 問4-1
情報を取り扱う者の氏名・名称 氏名又は名称の明記が必須。サービス名の方が認知されやすい場合はサービス名を併記できるが、氏名・名称との併記が前提 問4-2
情報の利用目的 原則として送信先事業者と自社(送信元)双方の利用目的を記載。プライバシーポリシー等へのリンクと内容の概略説明の併記でも足りる 問4-3、問4-5、問4-6

プライバシーポリシーへのリンクによる説明について、総務省のFAQは「利用目的が記載されたプライバシーポリシーへのリンクを示す方法によって、通知又は容易に知り得る状態に置くことは可能です。この場合、利用者の便宜のため、単に当該リンク先を表示するだけではなく、リンク先で表示される内容の概略を併せて示すことが望ましい」としています(同FAQ問4-6)。リンクを貼るだけで済ませるのではなく、リンク先に何が書かれているかを一言添える設計が推奨されています。

「通知」と「容易に知り得る状態に置く(公表)」の方法の違い

「通知」はポップアップ等による即時表示を基本とし、「容易に知り得る状態に置く」はページや画面の到達しやすい場所への掲載を基本とするというように、両者は利用者への到達のさせ方が異なる方法として整理されている。

総務省のFAQは、「通知」の方法について「(a)ポップアップ等により、即時通知(ジャストインタイム通知)を行うこと…または、(b)(a)と同等以上に利用者が容易に認識できるような方法を用いること」が必要としています(総務省「外部送信規律FAQ」問3-1)。一方「容易に知り得る状態に置く」方法については、「(a)ウェブサイトから利用するサービスにおいては、情報送信指令通信を行うウェブページ又は当該ウェブページから容易に到達できるウェブページにおいて、表示すること」「(b)アプリから利用するサービスにおいては、アプリ利用時に最初に表示される画面又は当該画面から容易に到達できる画面において、表示すること」のいずれかが必要とされています(同FAQ問3-2)。

方法 表示の仕方 共通の言語要件
通知 ポップアップ等による即時通知、又は同等以上に容易に認識できる方法 日本語・専門用語を避けた平易な表現、拡大縮小操作なしで適切な文字サイズ
容易に知り得る状態に置く(公表) ウェブサイトは情報送信指令通信を行うページ又はそこから容易に到達できるページ、アプリは最初に表示される画面又はそこから容易に到達できる画面での表示 同上

どちらの方法でも、「日本語を用い、専門用語を避け、平易な表現を用いること」「利用者の端末において、画面を拡大・縮小する等の追加的な操作を行うことなく、文字が適切な大きさで表示されるようにすること」という言語・表示要件は共通です(同FAQ問3-1、問3-2)。総務省のFAQは、外国人利用者が主な想定利用者であっても「通知等を行う事項を日本語で記載する必要があります」としており、英語等の併記は望ましいとされるにとどまります(同FAQ問3-3)。

確認の機会の付与が不要になる例外

サービス提供のために真に必要な情報、事業者が利用者識別のために送信する識別符号(First Party CookieのID等)、利用者の同意を取得している情報については、通知又は容易に知り得る状態に置くことは不要とされている。

総務省のパンフレットは、通知又は公表が不要になる情報として次の例外を挙げています。「1 サービス提供にあたって必要な情報(例:OS情報、画面設定情報、言語設定情報、ブラウザ情報等)」「2 サービス提供者が利用者に送信した識別符号(First Party Cookieに保存されたID)」「3 利用者の同意を取得している情報」です(総務省「外部送信規律について」(パンフレット))。同パンフレットは3の同意について、「同意するためのチェックボックス等にあらかじめチェックを付しておくなど、利用者が能動的に同意を行ったとはいえないような方法はとらないでください」と注意を促しています。

「真に必要な情報」の範囲について、総務省のFAQはさらに、「原則として、利用者が利用を希望している電気通信役務を提供するに当たり、当該電気通信役務を提供する電気通信事業者に送信される情報や…当該電気通信事業者以外の第三者に送信することが必要不可欠な情報が該当します」とし、「通常想定できない情報や、通常想定できない利用目的で利用される情報については、該当しません」と付言しています(総務省「外部送信規律FAQ」問6-2)。First Party CookieのIDと一緒に送信される他の利用者情報については、「除外されません」とも明記されており(同FAQ問6-3、問6-4)、識別符号だけが特別扱いされる点には注意が必要です。

同意取得・オプトアウト措置という選択肢

通知・公表以外にも、利用者から同意を取得する方法や、利用者の求めに応じて情報の送信・利用を停止するオプトアウト措置を講じる方法が、確認の機会の付与として認められている。

総務省のFAQは、オプトアウト措置について「利用者の求めに応じて、当該利用者に対し、情報の送信又は利用を停止する措置をいいます」と定義しています(総務省「外部送信規律FAQ」問5-1)。求めを受け付ける方法としては、「ボタンのクリックやタップ」「ホームページ上の指定フォームへの入力」「ダッシュボードでの操作」「リンクの表示」といった、当該役務の利用者にとって使いやすい方法を採用する必要があるとされています(同FAQ問5-3)。

オプトアウト措置を選ぶ場合、総務省のパンフレットは、容易に知り得る状態に置くべき事項としてオプトアウト措置を講じているという事実、情報の送信と利用のどちらを停止するものか、申込みを受け付ける方法、適用した場合にサービス利用が制限される場合はその内容に加え、送信されることとなる利用者に関する情報の内容、その情報を取り扱うこととなる者の氏名又は名称、その情報の利用目的を挙げています(総務省「外部送信規律について」(パンフレット))。オプトアウトを選んだからといって記載事項が減るわけではなく、通知・公表とほぼ同じ情報をあらかじめ示した上で、利用者が停止を求められる流れを用意する必要があります。サービス利用が制限される場合の扱いについて、同FAQは「情報送信指令通信を行うウェブサイト等を利用できなくなる、当該ウェブサイト等の特定の機能を利用できなくなる、といったことが想定されます」としています(同FAQ問5-4)。

自社サイト・LPのタグ棚卸しチェックリストの作り方

外部送信規律への対応は、自社サイト・LPに設置されているタグの洗い出しから始め、ページ単位の該当性判定、通知・公表する事項の作成、表示方法の選定、例外の確認、プライバシーポリシーの整備という工程として設計できる。

ここまで見てきた判断軸を、都度ゼロから考えるのではなく、あらかじめ棚卸しの工程として組み込んでおくと、担当者が変わっても対応漏れを防ぎやすくなります。以下は、総務省の公表資料で示されている論点を踏まえた工程表の一例です。

工程 実施内容 担当の目安
タグの洗い出し 自社サイト・LPに設置している広告タグ、計測タグ、SNS埋め込み、チャットツール等を一覧化する SNS運用担当・マーケ担当
ページ単位の該当性判定 タグが設置されているページごとに、自己の情報発信のためのページか、各種情報のオンライン提供等の4類型に当たるページかを判定する SNS運用担当・法務
送信情報の内容の確認 各タグが送信する情報の内容(識別符号、閲覧履歴等)と送信先事業者を洗い出す 開発・システム担当
通知・公表事項の作成 情報の内容、送信先の氏名又は名称、利用目的の3事項を文書化する SNS運用担当・法務
表示方法の選定 ポップアップ等の通知にするか、ページ内に容易に知り得る状態で掲載するかを選ぶ SNS運用担当・デザイン担当
例外の確認 サービス提供に真に必要な情報・識別符号・同意取得済みの情報に当たらないかを確認する 法務
プライバシーポリシーの整備 利用目的の記載先としてプライバシーポリシーへリンクする場合、内容の概略もあわせて示す 法務・広報
定期棚卸し タグの追加・変更のたびに一覧を更新し、四半期等の間隔で全体を見直す SNS運用担当

特に見落とされやすいのは、SNS運用代行会社や広告代理店が設置・変更するタグの把握です。運用を委託していても、自社サイト・LPが外部送信規律の対象になるかどうかの判断や、通知・公表事項の記載責任は発注元の企業にあると考えるのが実務上安全です。委託先にタグの追加・変更を任せている場合は、契約段階でタグの棚卸しリストの共有と変更時の報告を取り決めておくと、後から「いつ何のタグが増えたか分からない」という事態を避けやすくなります。委託先との役割分担や契約条件の整理には、SNS運用代行の契約で失敗しない注意点12選|トラブル回避術【2026年版】で扱っている契約チェックの考え方も参考になります。棚卸しの結果を社内ルールとして文書化する際は、企業SNS運用ガイドラインの作り方|項目・承認フロー・浸透手順で解説している項目立て・承認フローと組み合わせると、外部送信規律の対応だけが独立したルールにならず、既存の運用ガイドラインに自然に組み込めます。

外部送信規律が導入された背景と、対応するメリット

外部送信規律は、利用者が認識しないまま情報が外部送信される状況を是正し、利用者が安心して電気通信サービスを利用できるようにするために導入された規律であり、対応することは自社サービスの信頼性を示すことにもつながる。

総務省のパンフレットは、規律が導入された趣旨について、「ウェブサイトやアプリケーションを利用する際、利用者自身が認識していない状態で、利用者の端末から第三者に自身の情報が送信されている場合があります(外部送信)。そして、そのように外部に送信された情報に基づき、例えば広告配信のカスタマイズ等、利用者が知らない間に、目にする情報が選別されるなどの影響を受けていることもあり得ます」と説明しています(総務省「外部送信規律について」(パンフレット))。そのうえで、「このような状況を利用者に知ってもらって、安心してサービスを利用できるようにすることが大切です。また、外部送信される情報についての透明性を高めることによって、自身のサービスの安全性や信頼性をアピールすることにもつながります」としています(同パンフレット)。

SNS広告やコーポレートサイトの運用担当者にとって、外部送信規律への対応は、義務への受け身の対応にとどまらず、自社サイトがどのようなタグを使い、どこへ情報を送っているかを自ら把握し、説明できる状態にしておく取り組みでもあります。タグの棚卸しは、広告効果測定や計測環境の整理とも重なる部分が多く、SNS運用のガバナンス強化の一環として位置づけることができます。

まとめ

外部送信規律は、2022年6月に改正された電気通信事業法第27条の12に基づき、2023年6月16日から施行されている規律です。対象になるのは電気通信事業を営む事業者が提供する、SNSや各種情報のオンライン提供などの4類型に該当する役務であり、自己の情報発信のための会社案内ページや、小売業者が自社ウェブサイトで行う商品販売は、多くの場合対象になりません。

実務で押さえておきたいのは、送信される情報の内容・送信先の氏名又は名称・利用目的という3つの事項を、通知又は容易に知り得る状態に置く必要があるという点と、サービス提供に真に必要な情報や同意取得済みの情報には例外があるという点です。この記事で整理した4類型・通知/公表の方法・例外・棚卸しチェックリストを土台に、自社サイト・LPに設置しているタグをページ単位で棚卸しし、社内ルールとして文書化しておくことが、担当者の異動や委託先の変更があっても対応がぶれない体制につながります。個別のページが実際に規律の対象になるかどうかの最終判断は、総務省の公表資料や専門家への確認を前提にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 外部送信規律とは、ひとことで言うとどのような規律ですか。
電気通信事業を営む事業者が、利用者の端末に記録された情報を外部へ送信するプログラム等を送信する際に、送信される情報の内容や送信先について利用者に確認の機会を与えることを義務付ける規律です。2022年6月に改正された電気通信事業法第27条の12に基づき、2023年6月16日から施行されています。
Q2. 自社のコーポレートサイト(会社案内ページのみ)は対象になりますか。
総務省のFAQは、サービスの案内ページについて「自己の需要によるものであり、電気通信事業に該当しませんので、外部送信規律の対象にはなりません」としています。会社案内のみで構成されたページであれば、多くの場合は対象になりません。ただし同じサイト内にニュース配信等の各種情報のオンライン提供ページがある場合、そのページは別途対象になり得ます。
Q3. Cookieを使っていなければ、外部送信規律の対象外と考えてよいですか。
そうとは限りません。総務省のFAQは「利用者の端末から外部に情報を送信するよう指令するプログラム等を利用者の端末に送信する行為全般を規制するもの」であり、「このような行為を行っていれば、Cookieを利用していなかったとしても規律対象となります」としています。
Q4. SNS広告のリターゲティング用タグを設置していますが、対象になりますか。
外部送信規律はターゲティング広告自体を規制するものではありません。タグを設置しているウェブページが「電気通信事業」に該当し、かつ4類型のいずれかに当たる場合に規律の対象になります。自己の情報発信のための会社案内ページであれば、多くの場合は対象になりません。
Q5. 「通知」と「容易に知り得る状態に置く」は、どちらを選べばよいですか。
どちらも認められた方法です。「通知」はポップアップ等による即時表示、「容易に知り得る状態に置く」はページ内の到達しやすい場所への掲載が基本になります。どちらを選んでも、日本語・平易な表現・適切な文字サイズという言語要件は共通です。自社サイトのUIやページ構成に合わせて選ぶことができます。
Q6. プライバシーポリシーへのリンクを貼るだけで対応したことになりますか。
利用目的の記載については、プライバシーポリシーへのリンクを示す方法も認められています。ただし総務省のFAQは、単にリンク先を表示するだけでなく「リンク先で表示される内容の概略を併せて示すことが望ましい」としており、送信される情報の内容や送信先の氏名・名称もあわせて記載する必要があります。
Q7. 自社のニュース配信ページやコラム記事の配信ページは対象になりますか。
総務省のFAQは、ニュース配信ページは「各種情報のオンライン提供サービスとして、第4号に該当するため、外部送信規律に対応いただく必要があります」としています。自社が運営するオウンドメディアやコラム記事の配信ページが対象になるかどうかは、不特定多数への情報提供として運営しているか等の実態によって変わるため、判断に迷う場合は専門家への確認をおすすめします。

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