工務店のInstagram運用|施工事例の投稿の型と施主・職人の写真の同意

📅 公開日: 2026年10月20日🔄 最終更新: 2026年10月22日

工務店のInstagram運用(リフォーム会社も同じです)で迷うのは、施工事例をどんな形で載せるかと、施主(お客様)の家や職人の写真をどこまで載せてよいかの二つです。完成した家を見せたい一方で、そこは誰かの生活の場であり、写真から住所や家族の様子が分かってしまう場合もあります。

結論から言うと、施工事例は「施主の悩み、工事の判断、仕上がり、引渡し後の使い方」のように、読む人の問いに一つずつ答える型で載せ、施主の家や人が写る素材は、撮影の前に同意の範囲を書面で決め、投稿の前に住所が分かる写り込みを点検表で取り除く運用が現実的です。個人情報保護委員会の個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)は、氏名のように特定の個人を識別できる情報だけでなく、他の情報と容易に照合して識別できる情報も個人情報に当たるとしています。外観の写真、地名、屋号、位置情報が組み合わさって「どこの誰の家か」が分かるなら、その組み合わせが点検の対象です。

この記事は、工務店・リフォーム会社でInstagramを任された担当者と経営者に向けて書いています。個人情報の考え方は上記のガイドライン、性能や価格の表示は消費者庁の表示規制の概要を、2026年10月20日時点で公式ページに記載のある内容に限って使っています。住宅の性能や価格について、この記事で断定することはありません。法令の適用は会社の形態や契約内容で変わるため、同意書の様式や個別の判断は、弁護士や行政書士などの専門家にご確認ください。文中の投稿例、同意書の項目、点検表の記入例は、手順を説明するための「仮の例」であり、実在の施工や施主の話ではありません。

目次

最初に決めること|誰のどんな迷いに答えるアカウントか

工務店のInstagramで最初に決めることは、家づくりやリフォームを検討している人のどの迷いに答えるアカウントかであり、迷いを一つ決めると、載せる施工事例の選び方と、写してよい範囲の線引きが同時に決まります。

家を建てる、直すという相談は、金額も期間も大きく、見る人は慎重です。投稿を見ながら知りたいのは、「自分の家に近い悩みをどう解決したのか」「どんな人が、どんな進め方で工事をするのか」「相談したら何が始まるのか」の三つに分けられます。完成写真を並べるだけの投稿は、三つ目の問いに答えず、問い合わせにつながりにくくなります。

アカウントの役割は一文で書き出しておきます。仮の例として「築年数の経った戸建ての困りごとと、その直し方を、リフォームを検討する人に伝える」と決めれば、新築の豪華な外観写真を載せるか迷ったときに、役割に合うかで判断できます。同時に、役割が決まると、施主の家の何を見せて何を見せないかも決めやすくなります。困りごとと直し方が伝われば足りるなら、家の外観や所在地を分かるように見せる必要はないからです。

施工事例の投稿の型|ビフォー・アフターに頼らない五つの型

施工事例の投稿の型とは、完成写真を並べる代わりに、読む人の問いごとに一つずつ答える投稿の形であり、悩み、工事内容、仕上がり、つくり手、引渡し後の案内の五つに分けると、毎回の確認項目も型ごとに固定できます。

次の表は、五つの型について、読む人の問い、素材の例、投稿前に確認する点を、編集部が整理したものです。施主の顔や家の所在地が分からなくても作れる素材を先に挙げているのは、同意を取る対象を減らし、運用の負担を軽くするためです。

投稿の型 読む人の問い 素材の例 投稿前に確認する点
悩みから入る型 自分と似た困りごとは、どう直せるのか 困りごとを一般的な言葉で書いた文字、描き直した簡単な間取りの図 特定の施主の発言をそのまま使っていないか、図面に住所や氏名が残っていないか
工事内容を説明する型 何を、どんな順序で変えたのか 工程を示す図、材料の名前、人や周辺の景色が写らない部分の工事写真 材料の性能の説明が、メーカーの公式な資料の表現と一致しているか
仕上がりを見せる型 完成するとどんな空間になるのか 室内の完成写真、住所が分からない角度の外観 表札、窓の外の景色、室内の書類や家族の写真が写っていないか
つくり手を紹介する型 どんな人が、どんな考えで工事をするのか 作業の手元、道具、本人が同意した写真 本人の同意があるか、名前入りの作業着や社用車が写っていないか
引渡し後の案内の型 工事のあと、点検や相談はどう進むのか 文字中心の案内画像、よくある質問への回答 保証や点検の内容が、自社の契約書や約款の記載と一致しているか

五つの型のうち、施主や職人の同意が必須になるのは「仕上がりを見せる型」と「つくり手を紹介する型」の一部だけです。ほかの型は、同意の範囲を決める前でも、文字や図で作れます。動画で工事の様子や完成を見せたい場合は、撮影の段取りと企画の考え方を、飲食店のリール活用で撮影の段取りを整理した記事も参考にできます。業種は違いますが、撮る前に台本と確認項目を決める流れは共通です。

仮の例として、「玄関まわりの収納を見直す改修」を五枚の投稿にすると、次のようになります。実在の工事ではありません。

  • 1枚目:文字だけの画像。「玄関まわりの収納が足りず、靴や傘があふれる。そんな悩みをどう直すか」
  • 2枚目:工事の前に採寸して確認した点を、描き直した簡単な図で示す。実際の図面は使わない
  • 3枚目:棚の配置を変えた工事内容を、材料の名前と合わせて図で示す。性能の数値は書かない
  • 4枚目:完成した収納の写真。表札や玄関の外が写らない角度で撮り、施主の同意を得た範囲だけを使う
  • 5枚目:引渡し後の点検の案内と、相談の入り口。プロフィールの問い合わせ先に進む案内を一文で添える

住所が特定される写り込み|施主の家で点検する七つの場所

住所が特定される写り込みとは、表札のように住所そのものが写るものだけでなく、周辺の景色や投稿の文章、位置情報が組み合わさって「どこの誰の家か」が分かってしまう要素のことで、施主の同意の有無にかかわらず、投稿前に取り除く点検の対象です。

前掲のガイドライン(通則編)は、個人情報かどうかを、特定の個人を識別できるか、他の情報と容易に照合できるかで考えるとしています。同じガイドラインは、「個人に関する情報」は氏名、住所、顔画像などに限られず、映像や音声による情報も含むと説明し、防犯カメラに記録された、本人が判別できる映像情報も個人情報の例に挙げています。個人情報に当たるのは、そのうち特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合して識別できるものを含む)です。家の写真そのものが個人情報に当たるかは、写り方と他の情報との組み合わせで変わるため、ここでは安全側に、施主と結びつく可能性のある要素を七つに分けて点検します。この分け方は編集部の整理であり、公式の分類ではありません。

写り込みの場所 特定や不安につながる経路 投稿前の対処
表札・番地表示・郵便受け・インターホン 住所や氏名がそのまま読める 写らない角度で撮り直す。難しければその写真は載せない
電柱の番号札、道路の標識、目立つ隣家や店舗 周辺の景色から場所を絞り込める 外観は一部だけを切り出し、周辺が写る写真は避ける
現場の看板、のぼり、足場のシート 施主の名前や工事の場所が書かれている場合がある 文字が読める写真は使わない。看板自体に施主名を書かない運用も検討する
投稿に付ける場所の情報 位置情報の付与で、施工した地域が正確に分かる 施主の家の近くを指す場所は付けない。地域を出すなら市区町村までなど、社内で粒度を決める
車のナンバー、窓や鏡への映り込み、家族の姿 人や車から個人が識別できる 撮影前に車と人を画角から外す。拡大して映り込みを確認する
室内の書類、郵便物、カレンダー、家族の写真、ホワイトボード 氏名、予定、家族構成が読める 撮影前に片付けてもらうか、その部屋の写真を使わない
投稿の日付と説明文 「ただいま工事中」「今日は不在」の情報や、引渡しの日時から生活の様子が分かる 工事中の投稿は引渡し後にする。在宅状況が分かる書き方を避ける

表の最後の行は、写真ではなく文章の問題です。居住中のリフォームでは、工事の日程の投稿が、在宅や不在の時間帯の手がかりになる場合があります。この点は公式の資料に書かれているわけではなく、編集部が運用上の不安として挙げたものです。施主の暮らしが続いている工事では、リアルタイムの投稿を避ける運用が安全です。

写り込みの確認は、撮影した本人だけでは見落としやすい作業です。写真を拡大し、背景の端まで見るのは、撮影者とは別の人にすると精度が上がります。この考え方は、後の「社内の確認体制」の節で扱います。

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施主の同意の取り方|いつ、何を、どの方法で

施主の同意とは、家や家族が写る写真を、どの媒体に、どの範囲で、いつまで載せるかについての施主の承諾であり、掲載の目的を具体的に示し、施主が判断できる方法で、撮影の前に得ることが基本です。

ガイドライン(通則編)の3-1-1は、利用目的をできる限り具体的に特定するよう求めています。「事業活動に用いるため」「マーケティング活動に用いるため」のような抽象的な記載は、具体的に特定したことにならないとされています。施工事例の同意なら、「施工事例として、当社のInstagramと自社サイトに、工事前後の写真を掲載するため」のように、媒体と素材を書きます。

同意の方法について、同じガイドラインは、本人が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法によるとしたうえで、例として口頭、書面、メール、確認欄へのチェック、ボタンのクリックなどを挙げています。ガイドラインは書面に限っているわけではありません。ただし、あとから「いつ、誰が、何の範囲で同意したか」を説明するために、施主の住宅の写真は書面かメールの文面で残す形を、編集部としては勧めます。判断能力が十分でない未成年者などが写る場合は、親権者や法定代理人などから同意を得る必要があると、同じガイドラインに書かれています。同意の考え方を介護施設の事例で整理した介護施設の利用者の写真の同意を扱った記事や、未成年の写真を扱う学習塾の生徒の写真と個人情報をまとめた記事が、判断の参考になります。

次の表は、施主向けの同意書に入れたい項目を七つに分けたものです。ガイドラインが求める「具体的な利用目的」と「判断できる方法」を、書式に落とすための編集部の整理です。

同意書の項目 書く内容の例(仮の例) 入れる理由
掲載する素材の種類 工事前後の写真、工事中の写真、図面を描き直した図。家族が写る写真は含まない 範囲を素材ごとに選べるようにするため
掲載する場所 当社のInstagram、自社サイト。チラシや広告への転用は別に確認する 目的を具体的に示すため
地域や氏名の出し方 氏名は出さない。地域は市区町村まで出す、または出さない 住所が分かる組み合わせを避けるため
掲載の期間と終了の方法 掲載の期間を決める、または施主の申し出があるまで あとから見直せる状態にするため
掲載をやめる連絡窓口 担当者名ではなく、会社の窓口と連絡方法を書く 担当者が替わっても対応を続けるため
同意しなくても影響がないこと 同意しなくても、契約や工事、保証の内容は変わらない 断りにくい状況にしないため(編集部の勧め)
同意した日と同意した人 日付、署名またはチェック。家族を含める場合は、誰の同意かを分けて書く あとから範囲を説明できるようにするため

同意を取る時期は、契約のときだけにしないことを勧めます。契約の時点では、完成後の家がどんな写真になるかは分かりません。契約時に掲載の可否と大まかな範囲を確認し、撮影の前に素材ごとの範囲を再確認し、投稿の前に使う写真を見せる、という三段階にすると、施主が判断しやすくなります。契約書の約款の一文だけで済ませず、別の欄で、同意しない選択肢を用意します。

仮の例として、同意書の文面は次のように書けます。「当社は、工事の前後に撮影した写真のうち、玄関の収納の写真を、施工事例として当社のInstagramと自社サイトに掲載します。氏名と住所は出さず、地域は市区町村まで表示します。掲載はお申し出があるまで続け、ご連絡があれば当社の窓口で対応します。ご同意いただけない場合も、工事の内容には影響しません。」実際の文面は、専門家に確認してから使ってください。

職人・社員の写真|従業員と協力会社を分けて同意を取る

職人・社員の写真の同意とは、現場で働く本人の顔や名前が分かる写真を載せる前に、本人から掲載の範囲について承諾を得ることで、雇用している従業員か、協力会社の職人かにかかわらず、本人に確認するのが安全です。

ガイドライン(通則編)の2-1には、役員、従業員等に関する情報は個人情報に該当するという趣旨の記載があります。自社の従業員の顔写真や氏名は、施主の写真と同じように、利用目的を具体的に示して扱う対象です。「会社のSNSに載せるのは仕事の一部だから」と考えて、本人に確認しないまま載せる運用は避けます。

協力会社や一人親方の職人の扱いは、ガイドラインを確認した範囲では、個別の記載は見当たりませんでした。雇用関係がなくても、写っているのは本人であり、会社が代わりに承諾できるかは分かりません。そこで、協力会社の職人の写真は、元請けの会社の担当者への確認だけで済ませず、本人に直接確認する運用を勧めます。協力会社の会社名や、会社のロゴが入った作業着が写る場合は、その会社への確認も加えます。

職人の写真は、次の三点を決めてから撮ると運用が安定します。

  • 載せる範囲:顔を出すか、手元や後ろ姿にとどめるか、名前を出すか。後ろ姿や手元でも、名入りの作業着や社用車、現場の看板と組み合わさって特定できる場合があるため、本人に見せて確認する
  • 載せない選択肢:載せたくない人が不利益を受けない運用にする。入社時の書類に包括的な同意を入れる場合も、撮影のたびに本人に確認する
  • やめたい場合の連絡先:本人が掲載をやめたいと伝える窓口を決める。退職後の扱いも、あらかじめ決めておく

写真や映像に音楽、他社の商品、デザインが入る場合は、個人情報とは別に権利の確認が要ります。その手順は、企業SNS投稿の著作権・肖像権チェック手順をまとめた記事で整理しています。

性能・価格・施工実績の書き方|断定せず、根拠の資料と照合する

住宅の性能や価格の書き方とは、「高断熱」「地震に強い」「安い」のような評価の言葉を、根拠の資料と照合できる範囲に限って使うことで、消費者庁は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求める場合があると案内しています。

消費者庁の表示規制の概要は、景品表示法の優良誤認表示を、商品やサービスの品質などの内容を、実際よりも著しく優れていると一般の消費者に示す表示として説明しています。また、効果や性能に関する表示が優良誤認に当たるかを判断するために、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとし、資料が提出されない、または十分と認められない場合は、措置命令の場面では優良誤認表示とみなされると案内しています。施工事例の説明に使う言葉も、この考え方で点検できます。

点検の実務は、投稿に書く言葉を三つに分けることです。一つ目は、事実として確認できる言葉で、使った材料の名前、工事の範囲、工程の順序です。二つ目は、数値や等級を伴う言葉で、書くなら試験の結果、計算書、認定書などの根拠資料を社内に保管し、投稿の数値と照合します。三つ目は、「最高」「安心」「他社より安い」のような評価の言葉で、根拠を示しにくいため、使わずに事実の説明に置き換えます。

価格の書き方も同じです。「この仕様のこの範囲の工事で、いくら」と条件を同じ投稿に書かずに金額だけを載せると、条件の違う別の工事と比べられて誤解を生みます。金額を載せる場合は、工事の範囲、含まれないもの、税込か税抜かを同じ投稿の中に書く運用にして、社内で表記を統一します。売り出す住宅そのものを載せる場合は、不動産の広告の表示ルールも関わる可能性があるため、不動産会社の物件投稿と広告表示のルールを整理した記事で、確認先を押さえておくと安心です。

施主が自分のアカウントで書いた感想や写真を再投稿する場合は、投稿者の許諾を得ることと、広告としての表示が必要かの点検が要ります。後者は、企業SNSのステマ規制対応をまとめた記事で確認してください。

問い合わせにつなぐ流れ|投稿・プロフィール・DM・フォームの役割

問い合わせにつなぐ流れとは、投稿を見た人が、迷わずに相談の入り口へ進めるように、投稿の最後、プロフィール、DM、問い合わせフォームのそれぞれに役割を分けて置く設計のことで、個人情報を受け取る場所は、できるだけフォームか電話に絞ります。

工務店への相談は、金額も期間も大きいため、一度の投稿で問い合わせまで進む人は多くありません。投稿を見る、プロフィールで会社を確かめる、ほかの投稿を読む、相談する、という順序を想定し、各段階で置くものを決めます。

場所 見る人の状態 置くもの 個人情報の注意
投稿の最後 事例を読み終えて、自分の場合を知りたい 次の一歩を一文で書く。「相談の入り口はプロフィールから」など コメントに住所や連絡先を書かないよう、一言添える
プロフィール 会社を確かめたい 対応する工事、対応する地域、相談の方法、問い合わせ先を一本にまとめる 担当者の個人の連絡先は載せない。会社の窓口を使う
DMやコメント 短く質問したい よくある質問への一次回答と、詳しい相談の案内 住所、間取り図、見積書の画像、家族の情報はDMで受け取らず、フォームや電話に移す
問い合わせフォーム 相談したい 相談の内容と、返信までの目安の案内 入力欄の近くに利用目的を示し、必要な項目だけを聞く

表の最後の行は、ガイドライン(通則編)の3-3-4に対応します。契約書や入力画面などで本人から直接個人情報を取得する場合は、あらかじめ本人に利用目的を明示しなければならないと書かれています。フォームには、「ご相談への返信と、見積りの作成のために利用します」のように、利用目的を具体的に書きます。

DMやコメントへの返信の基準、担当、上司に回す条件は、企業SNSのコメント・DM対応ルールの作り方をまとめた記事で整理しています。工事の内容を詳しく聞かれたときに、DMの中で見積りや日程を決めてしまわず、フォームや電話に移すルールを、あらかじめ決めておくと運用が安定します。

社内の確認体制|撮る人、確認する人、同意を管理する人を分ける

工務店のInstagramの確認体制とは、写真を撮る人、投稿を作る人、同意を管理する人、最終的に承認する人を分け、担当者が替わっても同じ基準で投稿できるようにする仕組みで、小さな会社でも、撮る人と最終確認する人を分けるだけで見落としは減らせます。

現場の担当者が撮った写真を、そのまま広報の担当者が投稿する運用だと、写り込みや同意の確認が抜けやすくなります。次の表は、役割を四つに分けた例です。役職名ではなく役割で書いてあるため、人数が少ない会社では兼務してかまいません。

役割 やること 兼務のルール
撮る人(現場の担当者) 施主の同意の範囲を確認し、写り込みに気をつけて撮る。人や表札が写った写真は共有しない 最終確認の役割は兼ねない
投稿を作る人(広報の担当者) 投稿の型に沿って文章と画像を作り、点検表を埋める 撮る人との兼務はよいが、確認する人とは分ける
同意を管理する人(設計または営業の担当者) 同意書を保管し、施主ごとの範囲と期間を一覧にする。やめる連絡を受ける 担当者が替わるときに、一覧を引き継ぐ
最終確認する人(責任者) 点検表と投稿案を見て、公開してよいかを判断する 投稿を作る人とは別の人にする

二人しかいない会社では、投稿を作る人が現場の担当者を兼ね、もう一人が同意の管理と最終確認を兼ねる形にします。一人しかいない場合は、投稿の下書きを一晩置いてから、点検表を一項目ずつ読み直す、という方法で、確認を作る時間と分けます。

施主から「写真をやめてほしい」と連絡があった場合の手順も、決めておきます。次の順序を、仮の例として示します。

  1. 連絡を受けた窓口が、日付と内容を同意の一覧に記録する
  2. 該当する投稿を非公開にし、その後、必要に応じて削除する
  3. 自社サイトなど、ほかの媒体に同じ写真がないかを確認する
  4. 手元に保存した元の写真の扱いを、施主に伝える内容と合わせて決める
  5. 対応が終わったことを、施主に連絡する

アカウントのログイン権限、担当交代時の引き継ぎ、乗っ取りへの備えは、企業SNSアカウントの権限管理と引き継ぎ手順をまとめた記事にあります。ここまで決めた内容を、一つの文書としてまとめたい場合は、企業SNS運用ガイドラインの項目と承認フローをまとめた記事が参考になります。

投稿前の点検表|施工事例の記入例

投稿前の点検表とは、写真と文章のそれぞれについて、同意、写り込み、表示、流れを一項目ずつ確認して記録する一枚の表で、公開してよいかの判断と、あとから説明するための記録を兼ねます。

次の表は、「玄関まわりの収納を見直す改修」の投稿案に対する、点検表の記入例です。実在の工事や施主の話ではありません。

素材 確認した点 判断
完成した収納の写真(室内) 施主の同意の範囲に含まれる。靴箱の上の郵便物は片付けて撮影した。拡大して背景の端まで確認した 載せる
玄関の外観の写真 表札と隣家の屋根が写っている 載せない。写らない角度で撮り直せない場合は、文字と図で代える
工事中の写真(職人の手元) 本人は同意しているが、作業着に会社名が入っている 会社名が読めない写真に差し替えて載せる
説明文 「高断熱」の語を使っていた。根拠資料の記載と照合できない 語を削り、使った材料の名前と工事の範囲の説明に変える
位置情報 施主の家に近い場所を指していた 付けない
問い合わせの流れ プロフィールの問い合わせ先に進む一文を入れた。DMで住所を聞く文はない 載せる

点検表は、判断が「載せる」の行ばかりになるように作るものではありません。載せない、差し替えるという判断が出る行を残すことで、基準が運用に効いていることを後から確かめられます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 完成した家の外観だけなら、同意なしで載せてもよいですか。
外観だけでも、地名、屋号、位置情報などと組み合わさって施主と結びつく場合があります。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、他の情報と容易に照合して識別できる情報も個人情報に当たるとしています。外観を載せる場合も、施主の同意を取り、表札や周辺の景色が写らないように確認するのが安全です。
Q2. 契約書に「施工事例として掲載することがあります」と書いてあれば足りますか。
同じガイドラインは、利用目的を具体的に特定することと、本人が判断できる合理的かつ適切な方法で同意を得ることを求めています。契約書の一文だけでは、媒体や素材の範囲が分かりにくくなります。契約時の確認に加えて、撮影前に素材ごとの範囲を再確認し、同意しない選択肢のある別の欄を用意するのが安全です。
Q3. 協力会社の職人の写真は、誰の同意を取ればよいですか。
写っている本人に確認することを勧めます。ガイドラインの2-1は、役員、従業員等の情報が個人情報に当たることを示していますが、協力会社の職人について個別に書いた記述は、ガイドラインを確認した範囲では見当たりませんでした。会社の担当者への確認だけで済ませず、本人に見せて確認してください。
Q4. 手元や後ろ姿だけの写真なら、確認しなくてよいですか。
顔が写らなくても、名入りの作業着、社用車、現場の看板、体格や服装の組み合わせで、見た人が誰か分かる場合があります。顔の有無ではなく、見た人が本人だと分かるかで判断し、迷う場合は本人に確認します。
Q5. 「高気密・高断熱」「地震に強い」と書いてもよいですか。
根拠の資料と照合できない言葉は避けます。消費者庁は、効果や性能に関する表示が優良誤認に当たるかを判断するために、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができると案内しています(表示規制の概要)。書くなら、試験結果や認定書などの資料を社内に保管して照合し、使った材料の名前と工事の範囲の説明に置き換えるのも一つの方法です。
Q6. 竣工後に施主から削除を頼まれたら、どう対応しますか。
窓口で日付と内容を記録し、該当する投稿を非公開にしてから、ほかの媒体に同じ写真がないかを確認します。手元に保存した元の写真の扱いも、施主に伝えます。手順は、この記事の「社内の確認体制」の節に仮の例として示しました。

まとめ|投稿の型を決め、同意と写り込みを投稿の前に確かめる

工務店のInstagramは、悩み、工事内容、仕上がり、つくり手、引渡し後の案内の五つの型で組み立てると、施主の顔や家の所在地を出さなくても施工事例を伝えられます。そのうえで、施主の家や職人が写る素材は、利用目的を具体的に示した同意を撮影前に取り、住所につながる写り込みを七つの場所で点検してから載せます。

性能や価格は断定せず、根拠の資料と照合できる言葉に絞ります。問い合わせの流れは、個人情報を受け取る場所をフォームや電話に寄せ、社内では撮る人と最終確認する人を分けます。最初の一歩は、同意書の七項目の見直しと、点検表を一枚作ることです。様式や体制づくりに不安がある場合は、専門家に確認しながら進め、下のリンクからもご相談いただけます。

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