動物病院のInstagramは、公開アカウントなら「獣医療の広告」として点検するのが安全です。書ける内容は獣医療法で決まっていて、手術や予防注射などは決められた4点を併記すれば書けます。
Googleマップ(MEO)側は、住所・診療時間・カテゴリ・電話番号を正確にそろえることが土台です。Instagramとは「事実はGoogle、紹介はInstagram」と役割を分けると、更新の食い違いが減ります。
この記事は、動物病院の院長・事務長・SNS担当者向けです。次の内容を、仮の例つきで整理します。
- 広告に当たる条件と、対象外のケース
- 書けること・書けないこと、併記する4点の入れ方
- Googleビジネスプロフィールの整え方とクチコミの扱い
- 投稿前の点検手順
法令は、e-Govの獣医療法と獣医療法施行規則で確認しました。運用の考え方は、農林水産省の獣医療広告ガイドラインに関するQ&A(令和6年1月作成)によります。Google側は日本語のヘルプで確認しました。いずれも2026年10月31日に開いて読んだ記載に限っています。
個々の投稿が違反かどうかの最終判断は、診療施設の所在地の都道府県の獣医事担当課に相談してください。Q&Aにもその案内があります。文中の投稿例は手順を説明する「仮の例」で、実在の病院や飼い主さんの話ではありません。
結論|公開アカウントは広告として点検し、事実はGoogleで正本にする
動物病院のInstagram運用とは、獣医療法の広告制限を守りながら、診療の案内や院内の様子を公開アカウントで発信し、Googleビジネスプロフィールの情報と一致させて運用することです。
要点は3つです。
- 投稿は、書ける内容を先に決めてから作る
- 手術・予防注射・健康診断などは、4点を同じ投稿の中で併記する
- 住所・診療時間などの事実は、Googleビジネスプロフィールを正本にして更新する
Googleは、ローカル検索結果が主に関連性・距離・知名度で決まると説明しています(ローカル検索結果のランキングを改善するヒント)。投稿を増やせば順位が上がるとは書かれていません。この記事も、順位や来院数の増加は約束しません。
動物病院のInstagramは広告になるのか|3つの要件と対象外のケース
獣医療広告とは、飼育者等を誘引する意図(誘引性)があり、獣医師の氏名または診療施設の名称が特定でき(特定性)、一般の人が認知できる状態(認知性)にある情報です。3つすべてを満たすと広告に当たります。
農林水産省のQ&Aは、SNSでもこの3要件で判断するとしています。交流系SNSは、「いいね!」やコメントで不特定多数に情報が広がり続けるため、広告に当たると説明されています(第2・問3、問4)。
Instagramも「いいね」やコメントで広がる仕組みなので、公開アカウントの投稿は広告として点検するのが安全です。これは編集部の判断で、Q&Aが「Instagramは広告」と名指ししているわけではありません。
次の表は、Q&Aの記載から、広告に当たるかどうかの分かれ目を5項目に整理したものです。
| 場面 | Q&Aの扱い | 運用での見方 |
|---|---|---|
| 院の獣医師が公開SNSで「自院では手術を実施している」と投稿する(問11) | 不特定多数に拡散されるなら広告に当たる | 院の公式でも個人でも、院名が分かれば同じ基準で点検する |
| 鍵付きアカウント(問11) | 拡散されなければ広告制限の対象にならない。ただし客観的で正確な発信に努める | 対象外でも、書けない内容を書いてよいことにはならない |
| メッセージアプリ系SNSの友達登録者だけに届く情報(問3) | 自分の意思で登録した人だけが見るため広告に当たらない | 友達登録を勧める時は、どんな情報を送るかも示す |
| 病気の解説だけを載せたページ(問13) | 解説だけなら広告に当たらない。院へ誘引する意図があれば可能性がある | 解説の末尾に院の宣伝を足すと、広告として見られる |
| 飼い主が自分のSNSで院を紹介する(問14) | 原則として広告に当たらない。院の依頼による発信は可能性がある | 投稿をお願いする時は、内容を指示しない |
なお、資格のない人が診療を行うこと自体は、獣医師法違反として取締りの対象になりえます(Q&Aその他・問1)。この記事では扱いません。
書けること・併記すれば書けること・書けないこと
獣医療法第17条は、獣医師または診療施設の「技能、療法又は経歴」に関する広告を原則禁止し、専門科名と学位・称号だけを例外にしています。省令で定める事項は、条件つきで広告できます。
制限の対象は、技能・療法・経歴に関する事項です。住所・電話番号・診療日時などは、この3つに当たらないため、条文上は制限の対象事項ではありません。第17条第1項に違反すると、50万円以下の罰金の定めがあります(獣医療法第20条)。
次の表は、法令とQ&Aから、投稿で迷いやすい事項を7項目に分けたものです。
| 区分 | 内容の例 | 条件 |
|---|---|---|
| 制限の対象外 | 所在地、電話番号、診療日時、受付や待合室の写真 | 技能・療法・経歴の表現を混ぜない |
| そのまま書ける | 専門科名、学位(例:博士(獣医学)に授与した大学名を付記) | 学位は授与した大学名を付記する表記が適当とされる(Q&A第3・問2) |
| そのまま書ける(省令) | 獣医師の役職と略歴、愛玩動物看護師が勤務していること、農林水産大臣が指定した者による専門性の認定 | 省令第24条第1項に列挙された事項に限る |
| 4点を併記すれば書ける | 手術、健康診断、犬猫の不妊去勢手術、予防注射、寄生虫病の予防措置、マイクロチップの装着 | 問合せ先、通常必要とされる診療の内容、主なリスク・副作用等、費用の4点を併記する |
| 追加の説明が要る | 狂犬病予防注射、マイクロチップ | 犬の登録・鑑札・注射済票、マイクロチップの登録に関する説明を併記する(省令第24条第2項) |
| 書けない | 他院との比較で優良とする表現、誇大な表現、治療(手術)時間、「安価に」「手軽に」「パーセント割引」 | 時間は標準の目安がなく誤認させるため。費用のみを強調するものは品位を損なうおそれがあるため |
| 書けない | 飼い主の評判や体験談、未承認の医薬品を用いた治療、海外の専門性資格、「認定動物病院」という肩書き、医薬品の販売 | 誤認を与えるおそれ、または医薬品医療機器等法に触れるおそれがあるため(Q&A第3・第4) |
省令は、手術などと不妊去勢手術・予防注射・健康診断などを広告する場合に、他の獣医師や診療施設と比べて優良であると広告しないことと、誇大な広告をしないことも定めています(第24条第2項)。
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併記する4点の入れ方|投稿1本ごとに完結させる

併記する4点とは、問合せ先、通常必要とされる診療の内容、診療に係る主なリスク・副作用等、費用の4つです。広告制限の特例として挙がっている技能・療法を広告する時に、あわせて示します。
Q&Aは、併記内容を一目で分かるようにする必要があり、二次元コードの記載では併記したことにならないと説明しています(第3・問10)。写真・イラスト・動画を使う時も、4点の併記が条件です(第3・問6)。
投稿に入れる手順は次のとおりです。これは編集部の提案で、様式の指定ではありません。
- 投稿の主題を1つに絞る(例:猫の不妊手術)
- 対象の動物ごとに、診療行為を分けて書く(犬と猫で内容が違う場合)
- 通常必要とされる診療の内容を、検査・手術・術後の通院の順に書く
- 主なリスク・副作用等を、院の説明書どおりに書く
- 費用を、料金表と同じ金額・条件で書く
- 問合せ先(電話番号と受付時間)を、同じ投稿の中に入れる
4点が長くなる時は、画像の中に収めるか、キャプションの冒頭に置きます。リンク先や二次元コードに逃がさないことが肝心です。
投稿ネタの仕分け表|広告として出すか、出さないか
投稿ネタの仕分けとは、企画の段階で、書ける内容か・4点の併記が要るか・出さないかを分けておく作業です。作ってから直すより、手戻りが少なくなります。
次の表は、動物病院でよく挙がる投稿ネタを8項目に仕分けたものです。右の列は、上で確認した法令とQ&Aに沿った編集部の整理です。
| 投稿ネタ | 仕分け | 作り方 |
|---|---|---|
| 診療時間・休診日の変更 | 制限の対象外 | 日付と時間だけを書く。Googleと同時に更新する |
| 獣医師・看護師の紹介 | 略歴は書ける | 役職と略歴、学位、愛玩動物看護師の勤務に限る。「名医」などは書かない |
| 予防注射の案内 | 4点の併記が要る | 狂犬病は登録・鑑札・注射済票の説明も併記する |
| 不妊去勢手術の案内 | 4点の併記が要る | 手術時間や「日帰りで手軽」とは書かない |
| 手術の様子のリール | 4点の併記が要る | 動画の中か、同じ投稿の中に4点を入れる。専門性の優位を言わない |
| 季節の注意喚起(フィラリアなど) | 解説は対象外になりうる | 予防の案内を足すなら4点を併記する。薬だけを販売する案内はしない |
| 飼い主さんの感想の紹介 | 書けない | 評判や体験談で誘引しない。感想の再掲もしない |
| 割引・初診料無料などの告知 | 書けない | 費用だけを強調する広告はできない。実施自体もQ&Aは好ましくないとしている |
人間の歯科や整骨院にも似た考え方の規制があります。医療広告の違いは歯科医院のInstagram運用の記事、施術写真の扱いは整骨院・接骨院のInstagram運用の記事で整理しています。ただし根拠法が違うため、そのまま当てはめないでください。
自院の投稿の流れとGoogleの情報の整え方を相談したい場合は、上のボタンから日時を選べます。広告に当たるかどうかの判断は勉強会では行いません。都道府県の担当課にご確認ください。
Googleマップ(MEO)側でそろえる情報
動物病院のMEOとは、Googleビジネスプロフィールの情報を正確に整え、Google検索とGoogleマップで診療時間や所在地を正しく見せる取り組みです。
Googleは、ビジネス情報の内容が充実していて正確なほど、ローカル検索結果に表示される可能性が高くなると説明しています。ビジネス情報が正確でないと、関連性の高い語句で検索されても表示されない場合があるとも書かれています。
次の表は、プロフィール編集のヘルプ(ビジネス プロフィールを編集する)から、動物病院で確認したい6項目を並べたものです。右の列は編集部の整理です。
| 項目 | Google公式の記載 | 動物病院での注意 |
|---|---|---|
| カテゴリ | 事業内容に最も合うカテゴリを選ぶ。9つまで選べる。キーワード代わりには使わない | メインは病院の中心の診療に合うものにする |
| 営業時間 | 祝祭日など特定の期間は特別営業時間を設定できる | 休診日や臨時休診を、Instagramの告知と同じ内容にする |
| ウェブサイト | ウェブサイトのURLを入力する | リンク先のページも広告として見られうる(Q&A問12) |
| ソーシャルのリンク | プラットフォームごとに1つ追加できる。Instagramも対象。一部の地域のみ利用可 | 公式アカウントを1つだけ登録する |
| ビジネスの説明 | 全角375文字以下。URLやHTMLは入れない。価格やセールではなく事業の詳細を書く | 他院との比較や評判は書かない。費用を強調しない |
| 写真 | 写真や動画で商品やサービスを紹介できる | 手術の写真は、4点の併記が難しいため載せない運用が無難 |
説明欄が「価格やセールではなく事業の詳細を中心に」と案内されている点は、費用だけを強調できない獣医療の広告制限と方向が合います。ソーシャルのリンクは、ソーシャル メディアのリンクを管理するで追加方法を確認できます。
プロフィール欄の文章も、院へ誘引する意図で書けば広告として見られうると、編集部は考えます。同じ基準で点検してください。GoogleとInstagramの役割分担は、店舗のGoogleビジネスプロフィールとInstagramの使い分けの記事も参考になります。
クチコミの扱い|返信はするが、広告には使わない
クチコミ対応とは、Googleに投稿された利用者の感想を読み、オーナー確認を済ませたビジネス プロフィールから返信することです。投稿は利用者のもので、院の広告素材ではありません。
Googleのヘルプによると、クチコミへ返信するにはビジネスのオーナー確認が必要です。返信は、Googleのコンテンツ ポリシーに沿っているか審査されてから公開されます(ユーザーからのクチコミを管理する)。
獣医療の側では、Q&Aが、飼い主の主観的な体験談で診療施設へ誘引することは広告できないとしています(第4・問3)。Instagramの投稿や画像に、Googleのクチコミを転載して紹介するのは避けます。
返信では、診療内容の詳しい説明や、効果の断定を書かないほうが安全です。返信がQ&Aの示す広告に当たるかは、記載がありません。迷う場合は都道府県の担当課に確認してください。
クチコミを依頼する場合も注意が要ります。院の依頼による発信は広告に当たる可能性がある、とQ&Aは書いています(第2・問14)。感想の内容を指示したり、謝礼を渡したりしないでください。
仮の例|駅前の動物病院の11月の投稿の仕分け
仮の例とは、実在の病院ではなく、手順を確かめるために編集部が作った想定の運用例です。数字や名称は説明用です。
駅前の動物病院(仮の例)が、11月に4本の投稿を出すとします。先に仕分けてから作ります。
| 週 | 投稿の主題 | 仕分け | 同時にやること |
|---|---|---|---|
| 第1週 | 年末年始の診療日程 | 制限の対象外 | Googleの特別営業時間を同じ日に更新する |
| 第2週 | スタッフ紹介(獣医師の役職と略歴) | 略歴は書ける | 学位は大学名つきで書く |
| 第3週 | 猫の健康診断の案内 | 4点の併記が要る | 画像の中に4点を入れ、院長が確認する |
| 第4週 | 冬の室内で気をつけたいこと(一般的な解説) | 解説は対象外になりうる | 院の宣伝文を足さない |
第3週の投稿は、次のように作ります。
- 見出し:猫の健康診断のご案内
- 通常必要とされる診療の内容:問診、身体検査、検査項目、結果の説明の順(院の診療内容どおりに書く)
- 主なリスク・副作用等:採血時の負担など、院の説明書に書いてある事項
- 費用:料金表と同じ金額と、含まれる検査の範囲
- 問合せ先:電話番号と受付時間
「手軽に受けられます」「リーズナブル」は入れません。行動を促す文は「ご不明な点はお電話でご相談ください」のように、事実だけにとどめます。
投稿前の点検手順|担当者と院長の役割を分ける

投稿前の点検とは、下書きの段階で、書けない表現がないか・4点の併記があるか・Googleの情報と食い違わないかを、投稿者とは別の人が確認する手順です。
投稿者が自分で確認すると、見落としが残ります。投稿の担当者と、最終確認する院長(または広告の責任者)を分けておくと、手戻りが減ります。
- 担当者が、仕分け表で投稿の主題を分類する
- 書けない表現(比較、誇大、時間、割引、評判)を検索して除く
- 4点の併記が同じ投稿の中にあるか確かめる
- 診療時間・住所・電話番号が、Googleビジネスプロフィールと同じか確かめる
- 院長(広告の責任者)が承認し、投稿の日付と版を記録する
- 投稿後に、公開画面で文字が読めるかを確認する
承認の記録を残す方法は、企業SNSアカウントの権限管理と引き継ぎ手順の記事が参考になります。コメントやDMへの返信のルールは企業SNSのコメント・DM対応ルールの作り方にまとめています。
投稿の頻度や時間帯は、診療の合間で無理なく続けられる範囲で決めてください。検証の進め方は企業Instagramの投稿時間と頻度の決め方の記事にあります。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 動物病院のInstagramは、すべて広告になりますか。
- 誘引性・特定性・認知性の3つをすべて満たすと広告に当たります。公開アカウントで院名が分かる投稿は、広告として点検するのが安全です。鍵付きで拡散されないアカウントは広告制限の対象外ですが、正確な発信に努める必要があります(Q&A第2・問11)。
- Q2. 診療時間や住所は、自由に投稿できますか。
- 獣医療法第17条が制限するのは、技能・療法・経歴に関する事項です。診療日時や所在地は、その事項ではありません。ただし、投稿に技能や療法の表現を混ぜると、その部分は点検の対象になります。
- Q3. 手術のリールを出すには、何が必要ですか。
- 動画を使う場合も、問合せ先、通常必要とされる診療の内容、主なリスク・副作用等、費用の4点を併記します(Q&A第3・問6)。他院と比べて優れているとは言えません。治療時間も書けません。
- Q4. パーセント割引の告知は出せますか。
- 出せません。Q&Aは、割引など費用のみを強調して誘引する広告を、品位を損ねるおそれがあるとして認めていません(第4・問2)。広告しなくても実施は好ましくないとされています(その他・問2)。
- Q5. Googleのクチコミは、Instagramで紹介してよいですか。
- 避けてください。診療施設が飼い主の主観的な体験談で誘引することは、広告できないとされています(Q&A第4・問3)。Googleでの返信は、オーナー確認をしたうえでビジネス プロフィールから行えます。
- Q6. 判断に迷う表現は、どこに相談しますか。
- 診療施設の所在地の都道府県の獣医事担当課、または出先機関の獣医事担当部署です。Q&Aは、所属する地方獣医師会からも情報が得られるとしています(第6・問1)。
まとめ
動物病院のInstagramは、公開アカウントなら広告として点検します。書けるのは、制限の対象外の事実、専門科名・学位、省令に挙がった事項です。
手術や予防注射などは、問合せ先・診療の内容・リスク等・費用の4点を同じ投稿の中で併記します。比較、誇大、治療時間、割引、評判は書けません。
Google側は、診療時間・カテゴリ・説明文を正確にそろえ、クチコミは返信にとどめます。投稿前は、担当者と院長で役割を分けて点検してください。
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